インテルから独立し、この4月からセキュリティ専門会社として再スタートを切ったマカフィーは4月21日、新体制での事業戦略説明会を開催した。なお同社は、2011年にインテルに買収され、これまで「インテル セキュリティ」として歩んできたが、昨年9月、株式の51%を投資会社のTPGに売却されることが発表され、今年の4月初旬にその手続きが完了した。

事業戦略説明会の中で、マカフィー 代表取締役社長 山野修氏は、「もとのマカフィーの戻ったわけでなく、全社員が会社の使命を見直し、新しい会社として事業展開していくための誓い行った」と6年前と異なる方針で事業展開することを強調した。

マカフィー 代表取締役社長 山野修氏

それは個人や企業にととまらず、社会全体をサイバー攻撃から守ることだという。

マカフィーの使命

山野氏は同社の事業領域について「マカフィーはアンチウィルスのベンダーだと思われているが、これ以外にもいろんなことをやっている。日本法人の場合は個人と企業が半々で、官公庁も好調だ。POSやATMの組み込み向けのセキュリティでは日本の主要なベンダーにOEM提供しており、非常にバランスよくビジネスをやっている」と、もともと同社の事業が広範囲である点をアピールした。

広範囲な領域でサイバーセキュリティ対策を提供する上で、同社が中心に据えるのが、防御・検知・復旧というライフサイクル指向の防御、ワークフローの自動化、パートナーのテクノロジーも統合できるオープン性をもった「Unified Defense Architecture:統合された防御アーキテクチャ」。このアーキテクチャでは、OpenDXLというプラットフォーム上に自社の製品やサービスだけでなく、パートナーの製品やサービスも載せ、これらの管理とデータ分析をクラウド上(McAfee Cloud)で行うというもの。

「Unified Defense Architecture:統合された防御アーキテクチャ」

「技術や製品だけでなく、家族、国、社会を守っていくことが会社の使命だ。1ベンダーだけでなく業界全体で手を取り合って、連携して守っていく」と、自社ですべてのソリューションを提供するのではなく、オープンなプラットフォームを提供していくことで、セキュリティのエコシステムを構築して、サイバー攻撃に対応していくとした。

その上で山野氏は2017年度び注力分野として、「セキュリティ人材不足の解決を支援」「働き方改革を支えるセキュリティに注力」「セキュリティを新たな分野へ展開」の3つを挙げた。

人材不足の解決に向けては、製品やソリューションだけでなく、セキュリティ戦略の策定・実行、運用の最適化、セキュリティコンサルティングなど、プロフェッショナルサービスを強化し、人材リソースの支援を行う。

人材不足の解決

働き方改革の支援に向けては、テレワーク向けのセキュリティを提供するという。

山野氏は「テレワーク推進の阻害要因として、セキュリティ対する不安がある。テレワークや在宅勤務でも優れたセキュリティを提供し、日本の働き方の推進と支援する」と語った。

働き方改革の支援

新たな分野へ展開では、今後はIoT(ITとOT(制御))やクラウド、電力やガスなどの社会インフラの領域にも進出するという。

新たな分野へ展開

山野氏は「データの本質が問われており、ネットの情報が正しいのかわからない。あらゆるものがインターネットにつながりデジタル化が急速に進んでおり、IoTなどセキュリティの範囲が拡大している。脅威対策ライフサイクルを通じて、ITだけでなく、OT(Operational TechNology:制御系)のセキュリティまで包括的にサポートし、IoT時代の企業が直面する課題を解決する」とした。