Appleは、4月22日のEarth Dayを前に、同社の「環境」と題しているWebサイトを更新した。「地球の負担を減らすために、自分たちがするべきことを増やします。」という文言で始まる同ページでは、環境問題への取り組みに関する2017年の進捗報告書がダウンロードできるようになっている。

Appleの「環境」Webサイト

更新された「環境」のページは、以下の5つの疑問に答えるという形で構成されている。

  • グローバルなビジネスに必要な電力を、太陽、風、水でまかなうことはできますか?
  • Appleのサプライチェーン全体を、100%再生可能エネルギーに移行させることはできますか?
  • 私たちはいつか、天然資源の採掘を完全にやめることができますか?
  • Apple製品のパッケージに、再生紙と責任ある方法で調達した紙だけを100%使うことはできますか?
  • 世界最高の素材をさらに良くすることはできますか?

非常に困難と回答したくなるものも含まれているが、Appleはこれらの問題に対し、真剣に取り組み、目標を達成すべく努力を続けるというスタンスを示している。例えば、必要電力について2015年の時点で、世界中の自社施設で使っている分は、再生可能資源によるエネルギーを使用しており、それが93%となっていると報告していたが、今回アップデートされたページでは96%に達していて、どんどん100%に近付いていっている。

使用済みのiPhoneを分解するロボット「Liam」も活躍

また、天然資源の採掘に関する問題については、無理な話かもしれないが、そうなるべく努力を重ねているとしている。iPhone SEなどが登場した昨年3月のスペシャルイベントで紹介された、使用済みのiPhoneを分解するロボット「Liam」は、当初、ソーラーパネルの材料を供給できるようにするという話だったが、これも製品への利用へと移行するようだ。iPhone 6から回収したアルミニウムの筐体を溶解し、その素材を再利用して、iPhoneの最終組み立て施設で使用するMac miniを作ったというレポートもあり、リチウムイオンバッテリーからコバルトを回収する方法と、再生されたコバルトを利用する方法について実験を行う予定があることもアナウンスされている。今後はMacBookなどの解体で、Liamが活躍する場面が出てくるかもしれない。

パッケージに関しても、既に米国のApple Storeでは、ショッパーがプラスティックバッグから再生紙を使ったものに変更されている。iPhone 7の箱も、責任ある方法で管理された紙、竹、廃棄サトウキビを使って作られているそうだ。

環境問題に取り組んでいますよと、ポーズをとるのでなく、本気でコミットしていくというのがAppleの姿勢なのだということが、このWebサイトから分る。

建設中の新キャンパス「Apple Park」も、17メガワットの屋上ソーラーで世界最大のオンサイト太陽光発電施設を運営し、同じく世界最大という自然換気機構を取り入れるなど、環境に配慮された機構が組み込まれるのが明らかになっている。こういったことからも、京都議定書から離脱し、パリ協定からも脱退を目論んでいるような政治的状況をよそに、今の米国で、環境問題についてやるべきことをやるという強い意志が感じられる。

もちろん、米国国内だけでなく、ワールドワイドな施策も無視できない。マイナビニュースでは先日、日本の部品メーカーであるイビデンが、今後、Apple向けの生産を100%再生可能エネルギーで賄っていくことを報じたが、こうした機運を世界中で高めていくこともAppleが自らに課した課題なのである。真のイノベーションに向かって、問題意識を持ち続ける、それが我々の未来を持続可能なものにできるとAppleは信じているのだ。