米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)は、太陽光を用いて水を分解して水素を生成する光電気化学セルで、変換効率16.2%を達成したと発表した。世界記録の更新となる。研究論文は、エネルギー関連技術の専門誌「Nature Energy」に掲載された。

太陽光による水素生成の変換効率は、2015年にヘルムホルツセンターベルリン研究所などの国際共同研究チームが報告した15%がこれまでの最高値だった。NRELは今回、この記録を上回る変換効率16.2%を達成した。デバイス構造の改良などを行った結果であるとする。

光電気化学セルでは、数種類の化合物半導体をタンデム型に積層したデバイスを酸性電解液に浸し、これに太陽光をあてることで水を分解し、気体の水素と酸素を発生させる。研究チームが以前に開発したセルでは、ガリウム-インジウム-リン(GaInP2)の上にガリウム-砒素(GaAs)を成長させた化合物半導体タンデム構造が用いられていた。

今回のセルでは、タンデム構造の上下を逆転させ、さらに従来のGaAs層をインジウム-ガリウム-砒素(InGaAs)に置き換えた新しいデバイス構造を採用した。

上層のGaInP2の上には、さらに「窓層」となるアルミニウム-インジウム-リン(AlInP)の薄膜層を形成した。この窓層の存在によって効率低下の要因となる半導体表面の欠陥が取り除かれる。また、AlInP層が保護層となることで、酸性電解液に浸した際の半導体の腐食が抑えられ、セルの寿命が伸びるという効果があるという。

半導体を酸性電解液に浸さず、外部電解槽に配線接続する方法もある。こちらのほうが腐食によって寿命が短くなる心配がないが、電解液に直接浸すタイプのほうがコストを低くできると期待されている。このため、電解液に直接浸して使えるデバイスの開発が進められている。

セルの動作時間はまだ数時間程度と短く、実用化に向けては効率向上と同時に、さらなる寿命の伸長が必要である。また、コスト面では、米国エネルギー省(DOE)が水素製造コストの目標値として水素1kgあたり2ドル以下という数値を掲げており、これが開発目標となっている。