群馬大学は4月18日、ロタウイルスの感染制御メカニズムにおいて、同大学大学院医学系研究科神経薬理学分野 白尾智明教授らが発見したドレブリンというタンパク質が関与していることが明らかになったと発表した。

同成果は、群馬大学とスタンフォード大学の共同研究グループによるもので、4月17日付の米国科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」オンライン版に掲載された。

ロタウイルスは感染力が強く、激しい下痢や嘔吐の症状を示すが、特効薬はまだ開発されていない。ロタウイルスは小腸の上皮細胞に吸着後、細胞の中に侵入(エンドサイトーシス)し、増殖するが、エンドサイトーシスの制御機構は不明となっていた。

スタンフォード大学の研究グループは、ロタウイルスが細胞に感染するときに働くVP4というタンパク質に注目。質量分析器を用いてVP4と結合するタンパク質を網羅的に探したところ、ドレブリンが見つかった。

そこで群馬大学との共同研究において、遺伝学的・薬理学的にドレブリンの働きを弱めて、ロタウイルスの感染程度を調べた結果、ドレブリンの働きを弱めるとロタウイルスの感染が強くなることが明らかになった。実際に、ドレブリンを持たないドレブリンノックアウトマウスは、ロタウイルスに感染すると下痢の症状が重くなることが確認されている。

今回の研究では、ドレブリンがダイナミン依存的エンドサイトーシス機構を抑制することでロタウイルスの感染を防いでいることも明らかになっている。ドレブリンはアルツハイマー病で減少していることが知られているため、アルツハイマー病では神経細胞におけるダイナミン依存性のエンドサイトーシスが亢進している可能性がある。したがって、今回の成果が、新たなアルツハイマー病の治療薬開発につながることも期待されるという。

今回の研究の概要 (出所:群馬大学Webサイト)