テクトロニクス社は4月18日、5GのようなMIMOを活用する多チャンネルRF信号が求められる汎用電子機器テストのみならず、量子コンピュータに代表される先端研究開発、レーダ関連システムなどで要求される高精度な波形の生成を可能とする任意波形ジェネレータ「AWS5200シリーズ」を発表した。

同製品は、16ビットの分解能ながら最大サンプリングレート10GSpsを実現したもの。D/Aコンバータ(DAC)のほか、コネクタやシーケンサ、波形経路など、すべてが独立した8チャンネル構成となっており(2チャンネル品も用意)、複数台数を接続しても遅延が生じることなく、同期がとれた信号出力を可能としている。

AWS5200シリーズの概要と外観の説明

また、周波数帯域は2GHz(-3dB)で、最高8GHzまで内部で生成が可能であるほか、MATLABと互換性があるので、MATLABで作成したデータをそのまま活用することも可能だ。さらに、SFDRは-70dBc(10GSps、DC-I 25GHz)と低ノイズを実現しているほか、プリ・コンペンゼーション・ソフトウェアならびにプリ・キャリブレーション機能により、対象物接続時の再設定を不要化しつつ、高精度の維持も実現したという。

このほか、ディスプレイには6.5型タッチパネルをしたほか、背面に32チャンネルのマーカ出力を搭載しており、デジタルパターンジェネレータとしての活用や、他の機器の制御などにも活用できる。加えて、同社が従来から提供してきた波形作成ソフトウェア環境「SourceXpress」にも対応。さまざまなライブラリの活用により、手軽にニーズに応じた波形を生成することが可能となっている。

なお、価格は8チャンネル品「AWG5208型」が1080万円(税別)より、2チャンネル品「AWG5202型」が618万円(同)より、となっている。

上段はAWS5200シリーズの利用イメージ。同社では6.5型のタッチパネルの活用は補助的なもの、との見方を示しているが、そのサイズを考えれば、決して大きいとは言えないが、スマートフォンのパネルサイズを考えれば、小さいとも言えず、これがデタッチャブル化はともかく、自由に角度を変えられるような機構が備わっていれば、結構、現場での活用が期待できるのではないかと思われるので、今後の進化に期待したい