東北大など、銅の薄膜に人工的に誘起した磁化が膜面に垂直に向くことを実証

東北大学は、東京大学大学院理学系研究科の岡林潤准教授、同大学院工学系研究科の千葉大地准教授、小山知弘助教、高輝度光科学研究センターの鈴木基寛主幹研究員、東北大学電気通信研究所の白井正文教授、辻川雅人助教による研究チームが、薄膜に対して垂直方向に磁石の性質が生じるコバルト(Co)と白金(Pt)の界面に銅(Cu)を挿入することで、Cuに磁石の性質が滲みだすことを、放射光を用いたX線磁気円二色性(XMCD)により明らかにした。この成果は、4月13日、英国科学雑誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載された。

(a)設計した構造の模式図、(b)Co, Cu, Ptの各元素における円偏光によるX線吸収スペクトル(上段)とX線磁気円二色性スペクトル(下段)、(c)CoおよびCuのL3吸収ピークにおける元素別な磁気特性の変化

CoとPtの界面では、両元素の磁気的な相互作用により、膜面に垂直方向に磁化が揃うことが知られている。また、膜に垂直方向に磁化する材料は大容量の磁気記録デバイスには不可欠なものとしてスピントロニクス分野では研究されている。研究チームは、この界面に厚さの異なるCuを入れることで、CoとPtの間の相互作用を媒介として、Cuに誘起される磁性について調べた結果、Cuが3原子層の厚さの範囲においては、Cuも垂直に磁化することが判ったという。

これを調べるには、元素別に磁気状態を調べる必要があり、放射光を用いた元素選択的な磁性の検出手法が不可欠となる。茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構放射光施設(フォトンファクトリー)において、東京大学大学院理学系研究科スペクトル化学研究センターが所有するビームライン(BL-7A)にてXMCD の測定を行ったところ、Cuの垂直磁化を捉えることができたという。また、Pt原子の磁気特性についても、大型放射光施設 SPring-8(BL39XU)での測定によりPtも膜に垂直方向に磁化する性質を持つことが明らかになった。

この研究成果によって、磁性体と非磁性体が接合した界面に誘起される磁性に関する基礎物理学の理解を進展させるのみでなく、スピンを操作して低消費電力にて動作するスピントロニクス素子の設計においても、重要な役割を果たすことが期待される。



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