大阪市は4月13日、「子供の生活に関する実態調査」の結果を発表した。調査期間は2016年6月27日~7月14日、調査対象は大阪市立小学5年生・中学2年生の生徒とその保護者、及び幼稚園等に通う5歳児の保護者で、有効回答は7万532人。

大阪市の相対的貧困率は15.2%

大阪市の平均的な手取り収入の中央値は238万円。市の相対的貧困率(中央値の半分の額を下回る世帯=困窮度Ⅰ)は、小5・中2のいる世帯で15.2%、5歳児のいる世帯で11.8%だった。

小5・中2の子供を対象に困窮度別の学習理解度をみると、困窮度が高いほど、「ほとんどわからない」と答えた割合が増加。最も困窮度が低い中央値以上の層では1.9%だったのに対し、最も困窮度が高い困窮度Ⅰでは5.3%だった。また中央値以上の層とそれ以外で「よくわかる」の割合に差がみられ、中央値以上の層では28.8%だったが、困窮度Ⅰでは16.4%にとどまった。

困窮度別に見た、学習理解度<小5・中2のいる世帯(子供回答)>(出典:大阪市Webサイト)

困窮度別に子供の希望する進学先をみたところ、困窮度が高まるにつれ、高校卒業までの割合と専門学校の割合が高くなっていた。

困窮度別に経済的な理由でできなかった経験を調べると、小5・中2の子供がいる困窮度Ⅰの世帯では「家族旅行(テーマパークなど日帰りのおでかけを含む)ができなかった」が最も多く42.2%(中央値以上の層9.9%)。また「子供の誕生日を祝えなかった」割合は5.3%と、中央値以上の層の17.7倍に達した。

5歳児のいる困窮度Ⅰの世帯で「子供を医療機関に受診させることができなかった」割合は2.8%と、中央値以上の層の14.0倍に上った。

家庭環境をみると、小5・中2のいる困窮度Ⅰの世帯では母子家庭の割合が53.1%を占めた。また困窮度が高まるにつれ、10代で初めて母親になった割合が高くなっていた。

大阪市は「家庭の貧困状況や若年出産などが子供に様々な影響を与えていることが課題として明らかになった。今後はこのような課題に対応する効果的な施策として、どこに力点を置いていくか内部で議論を進め、2018年度の予算に反映させていく」と話している。