大手商社が続々とGRID(グリッド)社との提携や出資を10日、発表した。GRIDは、機械学習・深層学習フレームワーク「ReNom(リノーム)」を開発している。

GRID社は、2009年10月に設立したベンチャー企業で昨年2016年5月に機械学習のフレームワーク「ReNom」(リノーム)を自社開発したことを発表している。"自由で簡単にネットワークが定義でき、多様なアルゴリズムや、ユーティリティーがサポートされ、スケーラビリティがあるフレームワーク"を設計思想に同社が自社開発しており、公式サイトには、複雑な数式を扱わずにニューラルネットワークオブジェクトをブロックのように組み合わせることで、ディープニューラルネットワークが構築できることや、ハイパーパラメータの自動探索、GPUサポートやApache Sparkに対応した大規模分散処理に対応したスケーラビリティなど、その特徴やバージョンごとのアーキテクチャ解説の詳細、チュートリアルなども掲載されている。

10日、伊藤忠商事、丸紅、三井物産(五十音順)の大手商社らが相次いでGRIDとの資本業務提携を発表した。GRIDは、人工知能やIoT関連以外に、都市インフラソリューションのシステムや太陽光発電システム、自然エネルギーを利用した発電所開発、天候予測システムなどのインフラやクリーンエネルギーをターゲットにした事業も展開している。

ReNom(リノーム公式サイト)

AI分野を注力分野のひとつに掲げる伊藤忠商事は、実用性の高いアルゴリズムを組み合わせることで個別に開発する場合との比較で開発期間を4割以上短縮できると評価しており、国内外の製造・金融・ヘルスケア・情報通信分野等でのサービス開発のほか、自社活用のためのAI導入も検討しているという。

4月1日に「IoT・ビッグデータ戦略室」を新設したという丸紅は、すでにReNomベースで製造、インフラ、エネルギーなどの分野でのAIプロジェクトに取り組んでいることを明かしている。IoTやビッグデータへの活用はもちろん、物流分野やヘルスケア分野など同社の多角的事業展開に共に進んでいく構えだ。

三井物産は、インフラ分野をはじめ、様々な分野での課題解決の実績を積み重ねる日本でも有数のAIベンチャー企業とGRIDを評している。同社は、昨年4月に産業向けIoTデータ管理ソフトウェアの開発や販売を行う米国のOSIsoft, LLC.に出資参画し、同社開発ソフトPI Systemのデータを活用したIoTソリューションの構築に取り組んでいるが、PI SystemとReNomの組み合わせが顧客課題のIoTソリューション構築やオペレーションの効率化に寄与するとしている。