Avast Software 最高技術責任者(CTO)のオンドレイ・ヴルチェク氏

Avast Softwareは4月6日、最高技術責任者(CTO)のオンドレイ・ヴルチェク氏の来日に伴い説明会を開催し、AVG買収後のビジネス、日本国内における事業戦略、日本に関する調査結果について説明した。

同社は昨年7月に、競合関係にあったAVG Technologiesを買収した。ヴルチェク氏は両社は「チェコのプラハを発祥としていること、フリーミアムモデルのパイオニアなど、多くの共通点を持っている」としたうえで、「AVGの買収により、コンシューマーセキュリティの分野で大きな企業となった。両社において異なる点は、AVGがニューヨーク証券取引所に上場していたことで、買収により非公開企業となった」と両社の製品の戦略について説明した。

両社の統合により、ユーザー数は4億を超えているという。その内、約2億5000万はPCユーザー、残りの1万5000はモバイルユーザーとなる。

Avast Softwareのユーザーの内訳

国によって、両社の製品のシェアが異なることもあり、当分は両ブランドのラインアップを提供していくという。ヴルチェク氏は「今年ではないが、将来的には両社の製品を統合する」と述べた。

日本における事業戦略としては、日本法人の設立が準備中であり、1カ月以内に正式に発表される予定だという。ヴルチェク氏は、「日本語によるテクニカルサポートやコンタクトセンターを開設することで、日本におけるカスタマーサポートの質を向上する。また、外資系のベンダーが日本でビジネスをする場合、ローカルのパートナーやインテグレーターと協業することが多い。われわれもそれに倣い、日本固有の慣習に応じたビジネスモデルを展開していく」と述べた。

あわせて、マーケティング施策としては、日本語のブログやSNSを立ち上げて、ユーザーとのエンゲージメントを強化していく。

Avast Software 日本法人 カントリーマネージャー 高橋実氏

日本法人のカントリーマネージャーの高橋実氏は、「日本の市場に合わせたビジネスを提供していきたい。今、そのための準備をしている」と国内のビジネスに対する期待を語った。

ちなみに、日本においてフリーミアムモデルを提供するかはまだ決定していないという。その理由について、ヴルチェク氏は「正直なところ、どの企業もフリーミアムモデルで成功していないから」と説明した。

日本のウイルス対策ソフトウェア市場は既に大手ベンダーがシェアを分け合っており飽和状態にあるが、どう攻めるのだろうか。

この点について、ヴルチェク氏は「われわれはいい製品、技術を持っていると自負しており、実際に、世界のさまざまな国で実績がある。この実績をもとに、日本市場でもシェアを獲得できるという自信がある」と述べた。

Avast Softwareの日本市場における戦略