お風呂による2型糖尿病予防の有効性を示唆する研究が報告

入浴で体を温めると糖尿病が低減できるかもしれない

お風呂が好きな日本人は多い。帰宅してからの長風呂で一日の疲れを癒やす人もいれば、週末を利用してスパやスーパー銭湯でじっくりと湯船につかる人もいるだろう。近年は美容面のメリットから「ぬるめのお湯での半身浴」を実践している人も少なくないが、体を芯から温めることは健康面でのメリットも大きそうだ。

海外のさまざまなニュースを伝える「MailOnline」にこのほど、「入浴と2型糖尿病」に関するコラムが掲載された。最近報告された研究は、入浴が2型糖尿病予防に対して有効かもしれない可能性を示唆しているという。

近年、お風呂やサウナを利用した「受動的な体の加熱」が健康面を改善することが明らかになってきている。今回の研究を実施したラフバラー大学のスティーヴ・フォークナー博士は、入浴は運動と同じように2型糖尿病予防策になるかもしれないと解説している。

研究では、入浴が血糖コントロールや燃焼カロリー数に与える影響を調べた。14人の男性が研究に参加し、熱い風呂(40度)に1時間つかるか、もしくは1時間のサイクリングをするよう促された。いずれの活動も1時間で体内温度が1度上がるよう設計されており、研究者は1セッションで燃焼したカロリー数と、研究から24時間後の血糖値を測定した。

結果は、1時間の入浴よりも1時間のサイクリングの方が燃焼カロリー数は多かったが、1時間の入浴は30分の徒歩で消費するカロリー(約140kcal)と同程度だったとのこと。さらに、全体としての血糖値はサイクリングと入浴で同程度だったが、食後の最高血糖値に関しては、入浴した人の方がサイクリングをした人よりも約10%低いという結果が出たとしている。

入浴によって運動をした後と似たような炎症反応の変化も確認された。2型糖尿病のような長期の病気には、しばしば慢性的な炎症がみられるが、継続的な入浴は慢性炎症の軽減に寄与する可能性があるという。

「受動的な体の加熱」は比較的新しい研究分野ではあるが、ここ数年でいくつか注目すべき研究が発表されている。2015年には、男性が頻繁にサウナを利用すると、心臓まひや脳卒中のリスクが低減できるとのフィンランド発の研究が報告され、2016年にはオレゴン大学が定期的に熱いお風呂に入れば血圧が下がると発表した。

受動的な加熱によって、血管を拡張して血圧を下げる一酸化窒素のレベルが上がることが、これらの改善につながったと考えられている。このメカニズムは、高血圧の治療と2型糖尿病患者の末梢循環の向上に役立つ可能性がある。2型糖尿病は一酸化窒素の減少と関連しているので、入浴などの受動的な加熱によって健康的な一酸化窒素レベルに戻し、血圧を下げられるかもしれない。

受動的に体温を高めるのが効果的だということを立証するために、入浴とトレッドミルを比較検討した研究もある。運動と比較したところ、入浴の方が体温はより上がり、動脈血圧はより低くなった。血圧の低下は心疾患リスクの低減と密接に関連しているため、ここでも入浴のメリットがあることが示唆されている。

今後ますます、入浴の研究が進むことを期待したい。

※写真と本文は関係ありません


記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。
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