トーマツは4月3日、「Deloitte Analytics」において独自にテキスト分析技術を開発し、2017年2月に特許を取得したと発表した。同社は同技術を会計監査及びアドバイザリー・サービスに利用し、品質を向上したサービスの提供を図るという。

新技術は、データの全体内容を俯瞰でき、テキストデータに潜む要因関係の可視化を実現する。特徴として複数の人工知能技術(AI)を応用し、従来のテキスト分析で行ってきた単語をベースとする現状把握に加え、その文脈の近さを学習することで、膨大なテキスト情報を複数のトピックに類型化して把握が可能になるという。

さらに、その類型に分けたトピックとほかの属性情報との関係構造を学習することで、各要因の条件を変化させた場合、それに伴ってテキストで記した現象がどのように変化するのかを確率的に推論できる。

例えば、蓄積してきたテキストデータを利用し、これから行う施策の効果について、事前にシミュレーションするような利用方法を想定しているという。同分析のトピック抽出にはPLSA(確率的潜在意味解析)、確率推論にはベイジアン・ネットワークという手法を用いている。

同技術を会計監査に利用することで、これまで利用しきれていなかった多様な文書データに含まれるテキストデータをトピックに変換し、財務情報と同じ変数として扱うことで、定性情報・定量情報の双方から効率的なリスク評価の実施を可能にする。同社では徹底的なリスク・アプローチを行うために、大規模かつ広範なデータを利用するAudit Analyticsを高度化することで、監査の品質向上を推進するとしている。

また、アドバイザリー・サービスに利用することで、テキストデータからより高度な洞察を可能とし、付加価値を向上させることができるという。例えば、企業が有する知財の有効利用を支援する際、特許文書や論文などから導き出した新規技術の用途探索やアライアンス先などの施策のアイディアの効果を、事前にシミュレーションし、再考を重ねることで、より効果的かつ効率的な実施を可能にする。

加えて、企業のコールセンターの対応履歴や顧客満足度調査の自由記述回答、インターネット上の口コミなどから、顧客の潜在ニーズとそれを左右する要因を顕在化し、製品の品質管理、商品企画立案・マーケティングなどの対策の優先順位付けなどでも、より高度な洞察が可能になるという。