茶色や金色に髪染めをしている日本人は珍しくなくなった

古くから「黒山の人だかり」と言われてきたように、私たち日本人の本来の髪の毛は黒色だ。だが、1990年代頃から徐々に髪の毛を茶色に染める人が増え始め、今では茶色はもとより、金や銀、赤などのカラフルな色に髪を染める人も珍しくなくなってきた。

染色による頭皮へのダメージはあるが、髪の色を変えることで自分なりのオシャレを追求できたり、気持ちが前向きになれたりするケースなど、メリット面もあるのではないだろうか。

このように日本では当たり前の髪染めだが、海外では珍しいのだろうか。さまざまな人種が住む国ならば、地毛の色や髪に対する考え方も多様なはずだ。そこでの「ヘアー事情」は、日本と全く趣が異なる可能性もある。

そこで今回は日本在住の外国人20人に「日本人の髪染め」について質問してみたので、気になった意見を紹介しよう。

Q. 日本人の多くが黒髪を茶髪や金髪などに染めていることをどう思うか、母国と比較して教えてください

おしゃれだし、個性がある

・「自分の個性を作ろうとしている姿勢はいいと思う。台湾と日本はほぼ一緒で、学生時代はみんな金髪などに染めていたが、社会人になると黒に戻しているため、特に違いは感じられない」(台湾/20代後半/男性)
・「別にいいじゃないですか。個人のイメージの問題ですから。若い人が色々試すのは自然です。ロシアでもグリーンなど、変な色にしてしまう若者が多いです」(ロシア/30代前半/女性)
・「ドイツでも染めている人は多いですよ。自己表現なのでいいと思います」(ドイツ/40代後半/女性)
・「カラフルで面白いですね。最初は異常だと思っていたけど見慣れました。母国ではできないですね」(トルコ/30代後半/男性)

日本人の黒髪は美しいのに……

・「母国では日本みたいに頻繁に髪を染めません。日本人女性の黒い髪に憧れている外国人が多いのに、染めてしまうともったいない気がします」(モロッコ/30代前半/男性)
・「自然の黒髪がいいと思います。日本人には茶髪や金髪が似合わないと思います。男性が髪を染めるのもおかしいと思います。母国には様々な人種がいますし、自然に茶髪・金髪の人もいます。黒髪の白人が金髪に染めても綺麗な人がたくさんいます」(ブラジル/40代前半/男性)
・「ポーランドでは皆が日本人の黒髪に憧れています。みな髪の毛が細くて、茶色や金髪が多いからです。日本人が黒い髪を染めてしまうのが残念です。もったいないです」(ポーランド/40代前半/女性)

母国の事情を教えます

・「金持ちのすることだと思います。母国では、染めることはあまりはやっていません」(ギリシャ/30代後半/男性)
・「好きにやればいいと思います。母国の人たちも、結構髪の毛を染めていると思います」(ウクライナ/30代前半/男性)
・「常識の範囲内の色はいいが、変わった色や金髪はあまりいいと思わない。母国はイスラム国なので、多くの女性はスカーフを巻いているため、見えないです」(エジプト/30代前半/男性)
・「母国は金髪や茶髪の習慣がなく、そのように髪の毛を染めると変に見られる」(インドネシア/30代前半/男性)
・「別にいいと思う。タイも変わらない」(タイ/30代前半/女性)
・「最近、母国の大都会では染める女性は増えていますが、男性で染めている人はあまりみかけない」(インド/30代後半/女性)
・「普通。母国も同じ」(ベトナム/30代前半/女性)
・「イタリアではもっと自由に染めている気がします。元々茶髪・金髪・黒髪・赤髪も自然にあるからか、日本みたいに『黒髪がベスト』のようなイメージがありません」(イタリア/30代前半/男性)
・「アメリカでは、いろんな髪型と色があります。髪の色で就職できないとかはありません」(アメリカ/20代後半/男性)
・「同じ。社会人になると染めにくいのも同じ」(韓国/30代前半/女性)
・「フランスと比較してみると金髪に染めている人が非常に少ないと思う」(フランス/30代前半/女性)
・「青春時代の子は髪を染めたがりますね。しょうがないことだと思います」(モンゴル/40代前半/女性)
・「2000年に初めて日本に来たとき、茶髪が非常に多かったですが、最近減ったと思います。母国でも今の日本人と同じ割合で染めている人が多いです」(キルギス/30代前半/女性)

■総評

今回寄せられたコメントを総合すると、「髪の色を変えるのは個人の自由だし、常識の範囲内でするのであれば個性も出てよいのではないか」という趣旨の意見が多くを占めたように感じられる。実際、母国でも髪を染めることが一般化している国の方が多数派を占めた。その一方で、モロッコやポーランド出身の回答者の意見にもあるように「日本人が本来持つ美しい黒髪の方がよい」と考えている人もいた。

また、「就職と髪色」へのスタンスにも地域差が出た。例えば、「人種のサラダボウル」と言われるアメリカ出身の回答者によると、アメリカでは就職に髪の色は関係ないという。翻って日本では、就職活動は黒髪でするのが常識と考えられているため、就職活動のタイミングで自慢の髪を黒色へと戻す学生も多い。そして、台湾や韓国出身のコメントからも、似たような傾向が見てとれる。この意識の違いは、さまざまなルーツを持つ国民が多数住む国と、そうでない国との違いから生じたものかもしれない。

※写真と本文は関係ありません

調査時期: 2017年1月23日~2017年2月28日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート