月間ユーザーが3億人を超えた微博が今最も注力している「動画・生配信」領域。その主役となっている「動画インフルエンサー」の発掘・育成プロジェクトを推進するキーマンに今後の展望を聞きました。

中国では「網紅経済」と言われる動画インフルエンサーによる経済効果が増大しており、2017年はプラットフォーマーによる「動画インフルエンサー」への投資もさらに拡大するとみられています。

中でも、MAUが3億人を超えた微博では現在、動画や生配信といったコンテンツが人気となっており、その流通量は一年前に比べて約7倍にも増えています。微博では、この動画コンテンツ人気を支えているインフルエンサーの存在に注目し、その活動を支援する様々なプロジェクトを推進しています。

出典:微博发布2016年第四季度及全年财报

微博では2016年、「動画」「生放送」といったコンテンツの提供に力を入れ、「自媒体」(個人や企業でオンラインで積極的に有益な情報を発信することで、一定の評価を得て、メディアとして認知されているオンラインメディアの総称)との連携を強化しました。

その結果、短尺動画の数は200%増、動画の一日あたり平均放映量が前年比713%増加し、微博の2016年総営業収益を前年比45%増の43.83億元(約700億円)に押し上げる原動力となりました。

今回は、微博の動画インフルエンサー支援施策のひとつ「Vstar」を共同展開しているIMS社代表の李氏にプロジェクトの概要と今後の展望を伺いました。

微博と共同でVstar Projectを展開するIMS社代表の李氏

「Vstar Project」とは、どのような事業なのか教えてください。

李:今後3年間で1億元(約16億円)を投資し、動画のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で活躍できるインフルエンサーを育成していきます。動画SNSのインフルエンサーを当社は「Vstar(ヴイスター)」と名付けました。影響力の強いKOLやタレント、中国のテレビ局のキャスターなどをVstarとして育てる計画です。

中国市場で動画プロモーションの重要性が高まっているということですが、日本の企業がVstarを活用すると、どのようなメリットや効果があるのでしょうか。

李:今後、VstarとECの連動はますます強まっていくでしょう。Vstarは、従来のKOL(KeyOpinionLeader=インフルエンサー)に比べて、動画の制作や配信に長けています。動画は写真や文字よりも沢山の情報を伝えられるため、ECとの相性がとても良いと考えています。

Vstar Projectの今後の展望を教えてください。

李:今後の展望としては、CtoBに注目しています。「C」はコンシューマーで、「B」はメーカーです。コンシューマーとメーカーの間をVstarが取りもち、受注生産で商品を販売する取り組みです。どういうことかというと、例えば、Vstarがスーツの商品を企画し、購入を希望するフォロワーを募ります。そして、購入希望者が一定数に達したらメーカーに発注する。顧客を先に確保してから商品を作る受注生産の考え方ですね。商品が売れたら、メーカーからVstarに広告費を支払います。

中国向け商品開発の新しい形になりそうですね。

李:物だけでなく、映画や音楽などのコンテンツも、同じように作ることができると思います。この場合、CtoBの「B」はプロデューサー的な存在になりますね。Vstarがフォロワーに見たい映画を募り、一定数以上の顧客が集まったらプロデューサーである企業に映画制作を依頼する。今後、Vstarはタレント化していくでしょう。しかし、既存のタレントが必ずVstarになれるわけではないので、育成が必要です。消費において受注生産が今後のテーマになるはずです。そして、一般消費財を受注生産するにはVstarが必要になると考えています。

今後、日本企業もVstarと一緒に、中国でヒットする商品を作れるようになるかもしれないということですか。

李:それを期待していただきたいですね。

IMS社は微博と共同展開している「Vstar Project」を日本で推進するために、2016年末アライドアーキテクツと合弁会社「Vstar Japan」が設立しました。「Vstar Japan」社は今月本格的に事業開始、日本企業の中国マーケティングでの「動画インフルエンサー」活用を支援します。

Vstar Japan公式サイト
http://www.vstarjapan.com/

プレスリリース
http://www.aainc.co.jp/news-release/2017/01436.html

本稿は、ソーシャルメディアマーケティングラボにて掲載された記事を転載したものです。

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