Intel、「Optane Memory」を4月24日にコンシューマに向けて出荷

先日データセンター向けのOptane SSD DC P4800Xを発表したIntelだが、本日コンシューマ向けとなるIntel Optane Memoryを発表したので、こちらの概要もご紹介したい。

まずはじめに確認しておきたいことは、今回の製品は「Optane SSD」ではなく「Optane Memory」ということである。ここが重要なポイントで、Intel自身この製品はSSDではない(というか、分類としてはSSDなのだが、SSDとして使うには問題がありすぎる)ことを良く理解しており、Optane "Memory"としてリリースすることにした模様だ。

その背景だが、SSDの普及があまり進んでいないことが挙げられる(Photo01)。ノートPCをはじめとしてコンシューマ向けPCでは、SSDの普及が進んでいるのだが、大量のデータを扱うようなケースでは、絶対的な容量としても容量/価格比としてもまだHDDに分がある。それもあってか、2020年までの予測で見ても、まだ70%位はHDDベースという数字が出ている。

Photo01:実は自分のメインのノートも、SSDではなくHDDが入っている。理由は原稿やら資料やらの容量が大きすぎて、SSDだとすぐ一杯になるため。1TBのSSDがもう少し安ければ移行できるのだが(512GBだとすでに足りない)

この統計には別の側面もある。Samsung/東芝/WD/Micron/SK Hynix/Intelといった主要NAND Flashベンダが全力で量産を行っても、まだPCマーケット全体にSSDを供給できるほどの生産能力が無いことを物語っており、HDDは残らざるを得ないという理由も見えてくる。そんなわけで、いまだPCはHDDと共存していく世界が当面続くことは間違いない。

「今後もHDDがメインとして使われ続ける」ことを前提とすると、「HDDを使いながら、どうやって高速化するか」が次の課題となる。これに関してIntelは、以前からSSDをHDDのキャッシュとして使う「Intel Rapid Storage Technology」を提供してきていた。

ただ、使ったことがある方は分かると思うが、しっかり時間を比較すると確かに高速化されることは確認できるものの、その効果はそう高くない。理由の1つはSATA接続のSSDを併用する場合、SATAのコントローラがボトルネックになるからである。

PCIe接続のSSDを使うと多少改善されるが、PCIe接続に対応したSSDの大容量化と低価格化が進んだ結果、「いっそブートドライブをPCIe対応SSDにしたほうがより高速」という至極もっともな結論が出てくる。つまり、Rapid Storage Technologyを切ってPCIe SSDからブートさせ、重いアプリケーションやデータはHDDに放り込む(当然こちらにはSSDのキャッシングは効かない)という使い方が現実的だった。

これに対するIntelの回答が、M.2ベースのOptane Memoryである(Photo02)。PCIe x4で接続されるM.2フォームファクタ製品なので、SATAベースに比べるとI/Fのボトルネックは最小であり、DC P4800Xの紹介のところで説明した通り、Read/Writeが混在する環境でも一定の性能が維持され、書き込み寿命も長い。これをSystem Cacheとすれば、HDDであっても十分システムが高速化されることは期待できるというものだ。

Photo02:Optane SSDを名乗らない理由はこのスライドに集約されている。16/32GBでは、既存のSSDの代替には程遠いからだ。だから、System Cachingに専念するしか活用する手はなく、それゆえにOptane "Memory"を名乗っているのだと考えれば良い

では、具体的にどんな用途に高価があるか? ということで一般ユーザーとビジネスユーザー向けのシナリオを示したのがこちら(Photo03)。毎日2回くらいマシンを立ち上げ、11~14種類のアプリケーションを毎日利用し、しかもそれを立ち上げっぱなしではなく何度も立ち上げ直す。こうしたケースでは、Optane MemoryがFile Cacheの形でアプリケーション類を保持しており、ここから読み出しなおすことで、圧倒的に立ち上げ直しが高速化されることになるというわけだ。

Photo03:当たり前だがアプリケーションを一度立ち上げた後は、あまりキャッシュの効果はない。あくまでもシステムやアプリケーションの立ち上げに効果は絞られよう(もちろん理論上はデータファイルのキャッシュも可能だが、そこまで保持するには16/32GBはちょっと容量不足に思える)

前回の記事にもちょっと触れたが、このOptane Memoryを利用できるのはKaby Lake世代のCore iシリーズと、当然これに対応したIntel 200シリーズチップセットからとなる。すでに出荷済のIntel 200シリーズを搭載したマザーボードは、余程の理由が無い限りOptane Memory対応になっているはずだ。そして2017年第2四半期中には、OEMメーカーもこれを搭載したシステムを出す予定とされている(Photo04)。米国時間の3月27日の発表に合わせてプリオーダーも開始され、一般ユーザーへの出荷は4月24日が予定されているというのが現状のスケジュールである。

Photo04:実際、既存のHDDベースのシステムにOptane Memoryを追加するだけで、少なくともOSやアプリケーションの立ち上げはSSD以上に高速化される可能性があるわけで、数万の追加投資には見合う性能改善と言えるだろう

それにしてもというべきか、改めて確認できたのはOptane Memoryの「記憶容量の少なさ」である。Photo02でも分かるが、おそらくこの写真は32GBのもので、チップ1個が16GB(=128Gbit品)ということになる。昨今の3D NANDだとダイあたり512Gbitに達しており、パッケージ1個で1TBすら可能になっている。Photo02の写真を見る限り、Optane MemoryのパッケージはNAND Flashの倍のサイズがあるようで、これも勘案するとまだ記憶密度は100倍ほど違う計算になる。

現状のOptane Memoryを使う限り、例えば基板サイズを22110にして両面実装すれば128GBまでは何とか行くだろうが、「SSD」を名乗るにはまだちょっと容量的にキツいし、値段もちょっと怖いことになりそうだ。記憶密度が現在より一桁上がらない限り、コンシューマ向けとしてはあくまでSSDではなくMemoryという形での利用方法しかないかもしれない。

ちなみに価格は原稿執筆時点では未公表であるが、先の記事での試算(375GBで50万円!)をそのまま使うと16GB品で2万円ほど、32GBで4万3000円ほどとなる。ただこれはラフな試算なのでもう少し値段が下がることは期待できるが、32GBで3万を切るかどうかは微妙に思える。普及するかどうか、は実売価格次第ということになるだろう。

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