ブラックホールが銀河の中心から外れて外側に高速で動いている様子を米ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた、と米航空宇宙局(NASA)が24日発表した。この銀河は地球から80億光年も離れた遠い銀河で、NASAの研究チームは重力波の反動でブラックホールがはじき出されたとみている。

画像1 ハッブル宇宙望遠鏡が捉えたブラックホールが中心lから外れた銀河(提供・NASA, ESA, and M. Chiaberge〈STScI and JHU〉)

画像2 NASA研究者が推定する、ブラックホールが銀河の中心から外側に飛び出すまでのシナリオ。2つのブラックホールが接近して互いに回りながら合体(画像内番号1から3)し、外側に飛び出す(画像4)(提供・NASA, ESA, and A. Field〈STScI〉)

ブラックホールは通常銀河の中心付近にとどまっているとされている。NASA研究チームはハッブル宇宙望遠鏡の観測により、ブラックホールが銀河の中心からずれて銀河の端に向かって推定時速756万キロメートルもの高速で移動している銀河を発見した。

NASAの研究者は、今回観測した銀河は2個の銀河が合体してできたもので、それぞれの中心にあった2つのブラックホールも合体。このことにより大きな重力波が発生してその反動で合体ブラックホールが中心からはじき飛ばされた、と推測している。移動したブラックホールの質量は太陽の推定10億個分に相当するという。

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