ナレーションが一切ない新たなスタイルのNHKのドキュメンタリー番組『ノーナレ』では、きょう27日(22:00~22:25)の放送で、将棋の加藤一二三棋士に71日間の密着取材を敢行。羽生善治氏や、バラエティで共演するタレントなどの証言から、「ひふみん伝説」の真相に迫っていく。

加藤一二三棋士=NHK提供

"ひふみん"の愛称で親しまれる加藤氏は、最年長勝利記録・史上最多対局数・史上最多敗北数など「誰にも破ることができない」と評される偉業を成しとげ、"神武以来の天才"とまで呼ばれた人物。将棋の対局は、10時間を超えることもある過酷なもので、それを史上最年長の77歳まで続けてきたことに、羽生三冠は「人知を超えた存在」と評する。

また、棋士を描いた映画『3月のライオン』(前編公開中)に主演する神木隆之介は、対局姿を「まるで殴り合っているかのよう」と表現。その愛すべきキャラクターで、『アウト×デラックス』(フジテレビ系)などのバラエティでも大人気だが、同番組で共演する南海キャンディーズの山里亮太は、予測不能な行動・言動に「嫉妬するほど、笑いの神に愛されている」と語っている。

インタビューをすると、毎回、想像していた答えと全く違う回答が返ってくるのはもちろん、1つの質問に30分以上、ノンストップで返してくることも。そんな77歳とは思えないエネルギッシュ加藤氏だが、将棋界では、負けが込めば自動的に引退となる規定があり、ついに引退の危機が訪れる。

加藤氏は、将棋界最高峰の称号である「名人」を獲得したこともあり、こうした"レジェンド棋士"は、通常、自ら引退の幕引きをするものだが、規定で引退に追い込まれるまで、プロとして戦い続けることを選択。番組では、この引退の瀬戸際で起こした"奇跡"の瞬間をとらえている。

『ノーナレ』は、ナレーション全盛の昨今のテレビ界にあって、現場の生の映像とインタビューだけで構成。余計な説明が一切ないため、まるで"ひふみん"のそばに一緒にいるかのような臨場感が味わえる。今回は「諦めない男 棋士 加藤一二三」と題し、勝負師を支えた家族が語る「誰も知らないひふみん」に迫り、名棋士の"諦めない生き様"を映し出す。