競馬は人気のある公営ギャンブルの一つだ

日本では競馬や競輪、競艇といった公営ギャンブル(競技)が人気を博している。街中でも随所にパチンコ店を見かけることもあり、日本はギャンブルに対してある程度、寛容な国と言えるのではないだろうか。

もちろん、競馬やパチンコを楽しむのは個人の自由だ。中には、こういったギャンブルで日常のストレスを発散している人もいるだろうし、自己責任の範囲内でやる分には全く問題ない。

その一方で、ギャンブルが原因で多額の借金を背負ったり、依存症になってしまったりするケースも起こりうる。このような事態に陥ると、自分だけではなくその周囲の人にまで悪影響を及ぼす可能性も出てくる。こうなってくると「問題ない」とは言えない。

翻って日本以外の国をみると、カジノが認められている国もあれば、ギャンブルそのものが禁止されている国もあるなど、賭博に対する姿勢は各国で大きく異なる。当然、国民のギャンブルに対する認識も各国で違うだろう。

それでは、日本在住の外国人は「日本のギャンブル事情」をどう思っているのだろうか。今回は、日本在住の外国人20人に聞いてみたので、気になった回答を紹介しよう。

Q.競馬や競輪といった公営ギャンブルが盛んに実施されている日本をどう思うか、母国と比較して教えてください

あまりよろしくない

・「個人的にギャンブル反対なので、悪いと思います。ただ、母国にも競馬があるので、日本と差はないと思います」(ギリシャ/30代後半/男性)
・「母国も同じです。反対ですが、どうしようもないですね」(トルコ/30代後半/男性)
・「国でも競馬や競輪はありますが、日本ではその文化がもっと発達していると思います。私はギャンブル自体がよくないと思うので、お金を賭けないで競馬をしてほしいです」(モロッコ/30代前半/男性)
・「韓国でもやっていることだし、違法ではないが、マイナスの印象。まともな人はしないとの認識が強い」(韓国/30代前半/女性)
・「日本のギャンブルの多さはよくないと思います。ドイツよりも断然多いですね」(ドイツ/40代後半/女性)

特に問題ない

・「アメリカではキャンブル文化が合法です。パチンコよりはよいと思います」(アメリカ/20代後半/男性)
・「特に問題ないかと思いますが、個人的にギャンブルには興味がないのでどうでもいい」(ウクライナ/30代前半/男性)
・「エンターテインメントの一種だと思いますので、特に問題はありません。一方で問題になるのはパチンコです。母国にはさまざまな公営ギャンブルがありますが、パチンコ・カジノ・ビンゴゲームのようなギャンブルはすべて不法です」(ブラジル/40代前半/男性)
・「タイにもあるが、なんとも思わない。でも、日本の競馬はギャンブルというよりレジャー施設に近いので、別にいいだろうと思う」(タイ/30代前半/女性)
・「ストレス解消の場としてあってもいいと思います」(モンゴル/40代前半/女性)
・「面白いと思います。インドでは大金持ちの人しかこういう競技に参加できないから」(インド/30代後半/女性)
・「特に問題ないと思います。公営ギャンブルはポーランドにはないです」(ポーランド/40代前半/女性)

その他

・「イタリアも競馬はありますが、日本ほど存在は強くないです。パチンコやスロットもそうですが、日本の方がギャンブル施設がずっと多いと思います」(イタリア/30代前半/男性)
・「日本の文化なので仕方がありませんが、母国はイスラム国なのでギャンブルは禁止されています」(エジプト/30代前半/男性)
・「母国では基本的にギャンブルが禁止され、競馬や競輪はスポーツとしては存在しても、ギャンブルをすることは禁止されている」(インドネシア/30代前半/男性)
・「公営ギャンブルが実施されているのに、なぜカジノが禁止なのでしょうか」(フランス/30代前半/女性)
・「毎日の生活で私はこれらのギャンブルに接することがないので、どうでもいいと思います。ロシアでもどこかにあったと思うのですが、覚えてません」(ロシア/30代前半/女性)

■総評

ギャンブルが人気を博している日本を「よろしくない」と考える人と、「別に問題はない」と考えている人がおよそ半々に分かれるという結果になった。前者に関しては、公営ギャンブルが盛んな日本がよくないというよりも、ギャンブル自体に対して否定的な考えを持っている人が多い印象だ。一方で、後者の中には公営ギャンブルをエンターテインメントやレジャーといったふうにとらえ、容認している人もいた。

政府は2016年末、カジノ解禁に道を開く「統合型リゾート(IR)整備推進法案」(通称カジノ法案)を成立させた。これから賭博罪との整合性やギャンブル依存症対策などについて議論を重ねていき、IR推進法の公布日・施行から1年以内に「IR実施法」を策定、国会に提出する予定となっている。近い将来、日本でのカジノが「普通」となる日が来るかもしれない。

多くの先進国にカジノ施設は存在するし、カジノ施設ができるとなれば海外富裕層の多額の富が日本にもたらされる可能性もある。一方で、国内のギャンブル依存症患者の増加も懸念される。一つだけ確かなのは、この法案が日本を取り巻くギャンブル事情を一変させる可能性を秘めているということだ。

※写真と本文は関係ありません

調査時期: 2017年1月23日~2017年2月28日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート