島津製作所は3月24日、同社の血管撮影システム「Trinias MiX」シリーズ向けに、デジタル・サブトラクション血管造影法(DSA法)によって取得したX線画像に発生するアーチファクト(虚像)をリアルタイムで自動補正する技術「Flex-APS(Flexible Auto Pixel Shift)」ならびに、心臓カテーテル治療(PCI)においてX線照射量を増加させずに画像上のノイズを従来比で約50%低減してステントなどの視認性を向上させるPCI支援アプリケーション「SCORE StentShot」を開発したと発表した。

DSA法は、血管に造影剤を注入する前後でX線撮影を行い、血管を造影した後の画像から造影前の骨や臓器の像を減算処理することで、血管のみの像を得る手法だが、造影剤注入前後の撮影で被検者の動きによる画像のずれが生じると、減算処理後に虚像が発生してしまうという課題があった。Flex-APSは、被検者の移動方向や移動量をベクトルとして捉え、撮影中にリアルタイムで画像を自動補正する独自技術で、従来の平行・回転・拡大・縮小などの線形補正に加え、ひねりもしくはねじれ方向の体動についてもリアルタイムかつ非線形に補正することを可能とすることで、効果的な虚像低減を実現。これにより、使用する造影剤の減量や検査時間の短縮などが期待できるようになると同社では説明している。

一方のSCORE StentShotは、ステントの細径化や生体吸収性ステントに関する研究開発の進展にともない、患者の被ばくを抑えながらデバイスの視認性を十分に確保することが求められていた血管撮影システムに向けたもので、新たに開発した心臓カテーテル治療向けリアルタイム画像処理アルゴリズムと搭載することで、X線照射量を増加させずに画像上のノイズを従来より約50%低減することを可能としたもの。これにより、ステントの視認性が高まり、治療の安全性向上や治療時間短縮による低被ばく化につなげられるようになると同社では説明している。

「Flex-APS」を適用する前後の比較例