三菱電機ビルテクノサービスは3月24日、三菱電機製の監視カメラシステム「MELOOK 3」と入退室管理システム「MELSAFETY-Px」の相互接続/連携を可能とするファシリティゲートウェイ(FGW)とソフトウェアを開発し、管理者がいない中小規模ビルに向けたセキュリティクラウドサービス「おてがるっく」として4月1日より提供することを発表した。

これまでMELOCK 3による監視映像のチェックなどは、ネットワークにつながっていなかったため、現場に行って、システムに内蔵されているレコーダーから、当該映像を見つける、という必要があり、遠隔地からの確認作業といったことができなかった。また、入退室管理についても入退室に必要なIDカードを紛失した際、現地に管理者が赴き対応を取る必要などがあり、こうした作業を遠隔から実施したいというニーズが、特に管理者が常時いないことが多い中小規模のビルから多かったという。同サービスは、そうしたニーズに対応することを目的として開発されたもので、「監視カメラに撮影された指定した日時の映像を60秒間確認する」、「監視カメラや入退室管理システムが設定された異常状態を検知した際にアラームをメールで管理者に送信。アラーム発生前後各30秒の映像を確認することができる」、「最大10名までアラーム発生時の通知が可能」、「入退室情報である扉脳状態や通行履歴、アラーム履歴などをリスト化。入退室に必要なIDカードを紛失した場合の、遠隔地からの即時権限執行」といったことをWeb上の画面にて実行することを可能とする。

「おてがるっく」のスマートフォン上の利用画面。MELOOK 3自体はフルHD@30fpsでの撮影が可能であり、スマートフォン上でも高解像な映像を確認することができる

システムの構成としては、MELOOK 3やMELSAFETY-Pxをすでに活用しているユーザーの場合であれば、FGWの利用について同社とレンタル契約を締結することで利用可能となり、ユーザーはPCやスマートフォン、タブレット上で送られてきたURLを入力することで、上記の機能などを利用することができるようになる。費用は、LTE回線での利用の場合、月額2000円(税別)、光回線での利用の場合は同4500円(税別)となっている(工事費、保守料金は別途発生)。

気になるセキュリティ性や映像情報のネットワーク上への流出についてだが、セキュリティ性については、三菱電機が開発した暗号化通信などを採用することで、不正アクセスを防いでいるとするほか、映像情報については、ネットワークを経由する際は、同社のファシリティセンターに一度映像情報をストア。取得した映像については同センターで24時間保存された後、自動消去される仕組みとなっている。ネットワーク上のデータは消えても、ローカルのMELOOK 3内のレコーダーに記録されている情報はそのまま残っているので、後日、改めて当該映像を遠隔地からチェックしなおす、といったことも可能となっている。

おてがるっくのシステム構成イメージ。FGWにMELOOK 3やMELSAFETY-Pxを接続。FGWから同社のファシリティセンターを経由してユーザーに映像データが届けられる。ファシリティセンターではセキュリティを担保するため、当該映像データについては取得24時間後に消去する仕組みを採用しているという

なお、同社では基本的には、すでに当該の監視カメラや入退室管理システムを導入している顧客への販売を中心に進めていくとしているが、新規の受注についても、新たに監視カメラなどを導入する顧客に向けて、サービスの紹介を行うなど、進めていくとしており、年間で2000件、累計で1万件の契約を目指すとしている。

実際のFGWとMELOOK 3接続の様子。黒い箱状のものがMELOOK 3のレコーダー部。白い箱状のものがFGW。FGWのUSBコネクタに接続されているのがLTEモジュール。液晶モニタに映っている画面は、ローカルで管理者が見ている管理画面。同じ映像がスマートフォンでも見れることが分かる(監視カメラが映し出している映像が粗いのは、暗室の中を映し出しているため)