ファーウェイ(華為技術、HUAWEI)とドイツ・テレコムは3月20日(現地時間)、独ハノーバーで開催中のIT見本市である「CeBIT 2017」において、ドイツ・テレコムのパブリック・クラウド・サービスである「オープン・テレコム・クラウド」の最新動向と今後の計画を発表した。両社は今後、同サービスによりIoT市場に参画する意図を表明した。

CeBIT 2017における発表の風景

同サービスが扱うのは、IaaS/PaaS/SaaS及び、企業の既存ITインフラストラクチャとのシームレスな統合を可能にする垂直型ソリューション。オンデマンドでのセキュアなクラウド・サービスを幅広く提供することで、欧州企業が変化の激しい市場に対応できるよう支援しているとしている。

両社は同サービスのIaaSにおける品質向上を進める一方で、PaaSを段階的に立ち上げ、ユーザー企業によるアプリケーションの開発及び管理の簡素化と、運用開発のコストとリスクの低減を実現するという。

また、同サービスを通じて提供するリレーショナル・データベース・サービスにより、ユーザーは自らデータベースを構築・管理する必要が無くなるとしている。

さらに、コンテナの適用によってオープン・テレコム・クラウドが提供するコンテナ・エンジンの使用が可能になるため、クラスタ管理も不要になるという。

同時に、ビッグデータ分析及び人工知能を含むSaaSソリューションの提供も近日中に開始するという。

欧州原子核研究機構(CERN)は、大型ハドロン衝突型加速器を使用した多様な実験で生じる負荷の再現を目的として、同サービス上で1000台以上の仮想マシンを使用し、大規模な実証実験を実施したという。

実験結果は全体的に良好で、それを示す事実として、同サービスはCERN、欧州分子生物学研究所(EMBL)、高エネルギー物理学研究所(IFAE)などの欧州の研究センターによる「ヘリックス・ネビュラ サイエンス・クラウド(Helix Nebula Science Cloud)」を支援するサービスに選定されたとのこと。

CERNとファーウェイは、大規模な適用に向けたOpenStackの開発を推し進めていくという共通の考えの下で、今後少なくとも12カ月間にわたってCERNのオープン・ラボ・プロジェクトを通じて連携していく予定。この作業はOpenStackのコミュニティ・プロセス経由で実施し、その成果物は完全なオープンソースになるとしている。