高齢者による万引きの割合が増加 - 3割が「お金を払いたくない」

東京都は3月23日、高齢者の万引きの実態と要因を調べた「高齢者による万引きに関する報告書」を発表した。

万引き被疑者、高齢者が増加

昨年1年間の東京都内における万引き検挙・補導人員は、少年(6~19歳)が1,725人、成人(20~64歳)が4,905人、高齢者(65歳以上)が2,760人であり、万引きの全件届け出が徹底された2010年以降は減少傾向にある。

一方、万引き被疑者の年代別内訳の推移(警視庁生活安全部資料より)をみると、2010年は少年の割合が30%、高齢者が21%、2016年は少年が18%、高齢者が29%と、少年の割合が減っている一方で、高齢者が増えていることがわかった。

また万引きは再犯者率が高く、特に高齢者は万引きで捕まった人の58.7%(2016年暫定値)が過去に万引きを含む犯歴があった。

万引き被疑者の年代別内訳推移(都内) 警視庁生活安全部資料より作成(出典:東京都Webサイト)

「万引きに関する実態調査」(2016年秋)で高齢者による万引きの要因を調べたところ、高齢被疑者は一般高齢者と比べて世帯収入はやや低いものの、生活保護受給なしが約9割、借金なしも9割以上に上った。しかし本人の意識では、自分の暮らしを「苦しい」と感じる人が約半数となり、社会で「下」の層に位置すると答えた人も約半数を占めた。

高齢被疑者は、同年代の他者と比べて体力の衰えを実感している割合や、認知機能の低下が疑われる割合が一般高齢者と比べて高いことが判明。万引きをするときの意識としては、6割以上が「捕まると思わなかった」、同じく6割以上が「万引きを思いとどまったことがない」と答えた一方、規範意識については一般高齢者との差異はみられなかった。

被疑者の犯行の動機・原因については、「お金を払いたくない」が全体の29.3%、以下「生活困窮」(18.5%)、「許されると思った」(11.4%)、「空腹」(7.7%)、「自分の小遣いでは買えない」(11.1%)、「スリル・好奇心」(5.7%)となった。

万引き被疑者の犯行の動機・原因、万引き被疑者と生活保護(出典:東京都Webサイト)

また高齢被疑者はストレスへの耐性が弱かったほか、捕まることへのリスク認識も低く、万引きがもたらす結果を甘く捉えている傾向がみられた。

高齢被疑者の家族構成をみると、配偶者無しが約6割、独居が5割弱と、家族等による経済的、情緒的サポートが弱いことが明らかになった。更に高齢者の万引き防止に向けた支援の弱さも浮き彫りになった。

東京都は「再犯防止推進法案にある地方自治体の努力義務や取り組みについて検討した上で、警視庁や区市町村と連携しながら連絡体制を確立し、再犯防止に向けた取り組みを考えていきたい」と話している。

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