ニコンは23日、東京エレクトロンが日英の産学官機関と共同で進める「スマート・セル・プロセシング」プロジェクトに参画し、臨床レベルの再生医療用細胞の品質を実現する幹細胞の自動培養・検査プロセス(スマート・セル・プロセシング)確立へ向けた細胞品質評価技術を提供することを発表した。

日英間の産官学連携の共同開発である「スマート・セル・プロセシング」は、細胞品質を確保する管理の枠組み(フレームワーク)と品質の判定のための共有データベースを備えた体制の構築を目指すもの。

細胞培養・検査装置といったハードやソフト、細胞品質解析手法などで構成され、同社は東京エレクトロンおよび同プロジェクトの技術パートナーである島津製作所、シンフォニアテクノロジー、横河ソリューションサービスなどの各社と連携を開始するという。

現在、再生医療用製品は特定の作業者による手作業で生産されているが、今後の産業化には製品を安全、安心、安価で提供できる細胞生産システムの構築が期待されている。同社は2007年より長期間の安定した細胞観察、形態による細胞品質評価と幹細胞の各培養工程における品質評価の技術構築を行ってきたが、今回、この技術を同プロジェクトに提供し、非侵襲的に培養中の細胞の状態を評価することで、高精度な細胞品質管理を可能にするとしている。

なお、将来的にスマート・セル・プロセシングは、半導体業界の各種ノウハウと同社の光学技術、画像解析技術を融合し、将来は「スマート・セル・プロセシング」を完全自動化された細胞生産施設(スマート・セル・ファクトリー)へと発展させ、臨床レベルで標準化されたiPS/ES細胞や分化細胞などの安全かつ経済的な生産を実現することを目指すという。同プロジェクトの取り組み内容については、2017年6月にボストンで開催される国際幹細胞学会ISSCR(International Society for Stem Cell Research)2017にて発表される予定とのことだ。