高い負荷がかかるように自転車をこぐことで、アンチエイジングが期待できるという

女性にとって「美」は永遠のテーマであるだけに、「アンチエイジング」というキーワードには敏感にならざるをえないだろう。もちろん、若々しく見られるように努めることも大切だが、同時に体の内面の部分から加齢に「待った」をかけることも重要だ。

体の細胞レベルでのアンチエイジングを目指すには、運動をするとよい。その際は、一定の負荷を長時間をかけ続ける運動よりも、高負荷の激しいトレーニングを短時間に繰り返し実施したほうがよいのかもしれない。

海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「高強度トレーニングと老化防止」にまつわるコラムが掲載された。同記事によると、アメリカはミネソタ州のメイヨ―・クリニックの研究グループが、短時間の集中型エクササイズは体脂肪を減らし、糖尿病予防になり、細胞の老化防止にもつながると主張しているという。

研究グループは18~30歳および65歳~80歳の男女72名に「高強度トレーニング」「ウェイトトレーニング」「長めの自転車こぎと短めのウェイトトレーニングの組み合わせ」の3パターンのトレーニングを実施してもらった。

研究に携わったスリークマラン・ナイアー博士は、この3つの中では短時間の高強度トレーニングが最も効果的だとしたうえで、「老化防止を目指すなら、短時間の高強度運動にとって代わるものはありません」と解説する。とりわけ、高い負荷をかけた運動の後にインターバルをはさむ「高強度インターバルトレーニング」が効果的だという。

実際の研究では、4分間の高強度の自転車こぎに続き、3分間の軽い自転車こぎをしてもらった。この2つを1セットとし、計4セット実施してもらった。この4セットを週に3回行ってもらい、さらに週に2回、トレッドミルで弱強度の45分間のウォーキングも行ってもらった。その結果、上記3パターンのトレーニングの中では、この高強度インターバル様式が最も効果が認められたとのこと。

高強度インターバルトレーニングは、「過剰酸素消費状態」をつくりだすことによって他のトレーニングよりも多くの脂肪を燃焼させる。今回のように、全力に近い状態で4分間の自転車をこぐことで、運動後に安静時の代謝率が高い状態を長く維持できるという。

また、高強度インターバルトレーニングを実施すると、エネルギーをつくりだすミトコンドリアのために細胞がより多くのたんぱく質を生成するようにもなる。実際、18~30歳のグループではミトコンドリアの能力が49%上昇し、65~80歳のグループでは69%も上がった。

ただし、高強度インターバルトレーニングには弱点がある。加齢とともに筋肉は弱まるが、この様式のトレーニングは筋力改善にはあまり効果はない。

「運動を1つだけするというのなら、高強度インターバルトレーニングがお勧めです。ただ、インターバルトレーニングを3~4日行い、1~2日は筋力トレーニングをすればより効果的です」とナイアー博士は語る。

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記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。