北九州市大など、「ミセル」において従来の理論では説明できない現象を発見

北九州市立大学などは3月22日、104年間定説であったミセルの概念が必ずしも正しくないことを発見し、これが数学の幾何学の問題と密接な関係があることを示したと発表した。

同成果は、北九州市立大学 櫻井和朗教授、高輝度光科学研究センター 八木直人コーディネーター、有明工業高等専門学校 大河平紀司准教授らの研究グループによるもので3月14日付けの英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

セッケン分子は、水中で自ら集まってミセルと呼ばれる会合体を形成する。ミセルの概念は1913年にイギリスの化学者マックベインによって提唱されたもの。これによると、球状ミセルは数十から百数十の分子が集まって形成され、その会合数は、疎水性の部分と、親水性の部分のバランスによって決まり、溶媒や濃度、ミセルの化学構造が変われば、連続的に変化するとされている。

しかし同研究グループがDDSナノ粒子を研究する過程で、ミセルを形成する分子の会合数を小さくしていったところ、従来のミセルの理論では説明できない現象を発見。ミセルの会合数が30以下になると、飛び飛びの値である4、6、8、12、20、24から選ばれる数の会合しか起こらず、その数の多くはプラトンの正多面体の面の数と一致することを見出した。同研究グループは、これらのミセルを「プラトニックミセル」と名付けており、さらにこのミセルの不連続な会合現象を、数学上の未解決問題のひとつである「テーマス問題」から説明をしようとする新しい理論を提案している。

ミセルはナノテクノロジーの基盤技術であることから、同研究グループは今回の成果を利用することで、高性能な薬剤運搬技術、超精密ろ過材、省エネルギーのための高性能触媒などの開発が可能となると説明している。

従来のミセルの模式図(左)とプラトニックミセル。会合数が30以下になると、その値は4、6、8、12、20、24から選ばれる数字のどれかに限定される (出所:高輝度光科学研究センターWebサイト)



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