日本ではシーズンを問わずにマスクを装着する人を見かけるが……

インフルエンザウイルスや花粉対策との一環として、冬から春先にかけてはマスク姿の人が特に目立つ。ウイルスや花粉の脅威から、多少なりとも身を守れるマスクはありがたい存在である。また、近年はすっぴんを隠せるという理由で「伊達マスク」をする女性も増えてきており、季節を問わずにマスク姿の人を見かけるようになってきている。

マスク着用の人を周囲で当たり前のように見かけると、それが普通に思えてしまいあまり違和感を抱かないのかもしれない。だが、日本と異なる地域で育ってきた人たちには、この日本の「マスク愛好文化」はどう映るのだろうか。日本で生活している外国人20人に聞いてみたので、気になった回答を紹介しよう。

Q. 日本にはマスク姿の人が多いことをどう思うか、母国と比較して教えてください

よい習慣・許容できる

・「周りの人に気を遣っていて、親切だと思います。母国の人も日本人に倣ってほしい」(ウクライナ/30代前半/男性)
・「国ではマスク姿の人はあまり見かけません。日本人の『人に迷惑をかけない文化』の表れだと思います。いいことではないでしょうか」(モロッコ/30代前半/男性)
・「疾病予防のため、望ましいと思う。しかし韓国ではまだ、人と話すときに顔を隠すのは失礼だという認識が強い。会社や目上の人の前でマスクをするのは、まだ躊躇される」(韓国/30代前半/女性)
・「日本のマスクはいいと思いますよ。ドイツにはあまりいないですね」(ドイツ/40代後半/女性)
・「乾燥・花粉・感染症を予防するためなので、仕方がない。特に病人なら、感染症を広めないようにマスクすべき。 タイは暑いので、あまりマスクをしない。バンコクは空気が悪いから、マスクをする道端の屋台の人がいるけど」(タイ/30代前半/女性)
・「普通。母国でも同じ。ほこりなどが多いから」(ベトナム/30代前半/女性)
・「日本は多すぎですが、それでもいいかもしれません。母国にも必要です」(トルコ/30代後半/男性)
・「最初は変わっているなと思いましたが、慣れて自分もつけるようになりました。母国では病院などでお医者さんしかつけません」(ブラジル/40代前半/男性)

多すぎ・不要

・「本当に多いです。母国では珍しい。冬の間でも、1日に1人を見るか見ないかです」(キルギス/30代前半/女性)
・「確かにマスク姿の人が多いと思う。日本の場合は会社でのマスク、友達とのマスク、家族の間でのマスクがあると言われるが、母国ではそれほどでもない」(インドネシア/30代前半/男性)
・「イタリアではそのような習慣はあまりないです。病院でまれに見るぐらいですが、近年は増えていると思います」(イタリア/30代前半/男性)
・「必要はないと思う。フランスで顔が見えないと不安なので、絶対に普及しない行動だと思う」(フランス/30代前半/女性)
・「ロシアでこれは変と思われる景色です。マスクは綺麗じゃないし、『この人は病気だ、近づかないほうがいい』と思わせる姿です。よくない。それに、ロシアではアレルギーの人は非常に少ないため、『あの人は花粉症だろう』と思う人はおらず、必ず『病気』のイメージを抱く」(ロシア/30代前半/女性)

その他

・「日本では『病気の予防』だけでなく、暖かさ、さらには他人との会話を避けるため、マスクを着用する人が多いと思う。母国にはマスクを着用する文化がないです」(エジプト/30代前半/男性)
・「そんなに他人とかかわりたくないのと思う。しかし、台湾にもその傾向が少し増えてきている」(台湾/20代後半/男性)
・「予防することの大切さは分かるが、本当に病気だったらと思うと近寄りたくない」(モンゴル/40代前半/女性)
・「アメリカでは電車やバスに乗る人が少ないので、マスクの必要性がそんなにないです」(アメリカ/20代後半/男性)
・「ポーランドでも最近スモッグの問題が発生してしまったので、マスクが普及し始めています。日本はマスク姿の人が多いですが、慣れてきました」(ポーランド/40代前半/女性)
・「特に何も思いません。母国では、手術するお医者さん以外、マスクを使いません」(ギリシャ/30代後半/男性)

■総評

日本の「マスク愛好文化」を良いと思う、もしくは容認できると回答した人が4割という結果になった。ウクライナとタイ出身の回答者は、エチケットとしてのマスクが「周囲の人への配慮がきちんとできる日本人」の表れとみているようだ。韓国出身の女性のコメントには、目上の人に対してしっかりと敬意を払うお国柄が色濃く反映されていた。日本でも同様の考え方を持つ人は多数いるだろうが、韓国に比べればまだ徹底されていないのではないだろうか。

一方で、マスクをしている人があまりに多いことを不思議に思う外国出身の人たちもやはり一定数いた。特にロシア出身の女性は「マスクの人=病気」というイメージを抱くそうで、疾病予防やアレルギー症状緩和のためとしてのマスクという発想がないようだ。

※写真と本文は関係ありません

調査時期: 2017年1月23日~2017年2月28日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート