ソニー生命保険はこのほど、「ダブルケアに関する調査」の結果を明らかにした。同調査は2016年10月29日~11月6日、全国の大学生以下の子どもを持つ父親・母親2,100名を対象に、インターネットで実施したもの。

ダブルケアの状況

横浜国立大学の大学院国際社会科学研究院・相馬直子准教授、ブリストル大学(英国)社会・政治・国際学研究科・山下順子講師とともに実施した。

「ダブルケア」とは、子育てと介護に同時に携わることを指すために、相馬直子准教授と山下順子講師が作った造語。現在、晩婚化と出産年齢の高齢化によって、「ダブルケア」に直面する人が増えているという。肉体的・精神的な負担に加え、経済的な負担も大きく、特に経済的な負担は直面した後での対処が難しいこともあるとしている。

自身のダブルケアの状況について聞いたところ、「ダブルケアを経験した人」(「直面中」と「過去に経験」の合計)は6.5%、「ダブルケアが自分事の問題である人」(「経験」と「数年先に直面」の合計)は13.5%となった。

ダブルケア経験者(138名)にダブルケアに対する備えとして、やっておいたほうがよかったことを聞くと、「親が元気なうちに介護について話し合う」(34.8%)が最も多かった。次いで、「子育て・介護に関する地域の支援制度を調べる」(31.9%)、「親族とダブルケアが起こった場合の負担・分担について話し合う」(31.2%)となっている。

(ダブルケア経験者に)ダブルケアに対する備えとして、やっておいたほうがよかったこと

一方、ダブルケア未経験者(1,962名)に、ダブルケアに対する備えとしてやっている(やっていた)ことを尋ねると、60.0%が「特になし」と答えた。比較的行われていたのは「親族とダブルケアが起こった場合の負担・分担について話し合う」(14.3%)、「親が元気なうちに介護について話し合う」(13.2%)だった。

(ダブルケア未経験者に)ダブルケアに対する備えとして、やっている(やっていた)こと

ダブルケアに対する備えとして、やっていることがある人とない人の割合を地域別に算出したところ、やっていることがある人は、北海道・東北(40.3%)、北陸・甲信越(43.8%)、東海(41.2%)、近畿(43.2%)では4割を超えたが、関東(36.4%)や中国・四国(36.9%)、九州・沖縄(38.0%)では、3割台半ばから後半にとどまっている。

ダブルケアをしている人への支援策を5つ提示し、必要だと思うかどうかを聞いたところ、「介護施設の入所基準にダブルケア加点をする」「介護も育児も合わせて相談できる行政窓口」「保育園の入所基準にダブルケア加点をする」では、直面中の人や数年先に直面する人の9割前後が必要であると回答した。

この5つの支援策は、ダブルケアをしている人への支援として必要だと思いますか?

また、「ダブルケア経験者が、地域で直接相談にのってくれる」では、ダブルケアに直面している人と数年先に直面するという人のどちらも8割台後半が必要だと回答した。「ダブルケア当事者がつながる場を地域でつくる」では7割半から8割が必要と答えており、地域のつながりを必要だと感じている人が多数いることがわかった。