JR九州は21日、門司港駅の駅舎復原方針と今後のスケジュールについて発表した。保存修理工事が完了した後の駅舎は創建当時の姿に復原することを基本とし、修理前と同様、駅として使用される。耐震補強工事の実施などで工事完了予定時期が変更となり、2019年春頃をめどに駅全体の供用開始を予定しているという。

保存修理工事が完了した後の門司港駅イメージ(JR九州提供)。創建当時の駅舎の姿に復原する方針となった

門司港駅は1891(明治24)年に門司駅(初代)として開業。1914(大正3)年、現在の場所に移された際、ネオ・ルネッサンス調の木造建築の駅舎が建てられた。この駅舎が約100年にわたって親しまれ、1988(昭和63)年12月には、鉄道駅として初となる国の重要文化財に指定された。観光地となった「門司港レトロ」エリアを代表する建物でもあったが、老朽化にともない2012年9月から保存修理工事に着手。現在は仮駅舎での営業となっている。

JR九州は修理完了後の駅舎に関して、創建当時の姿への「復原」(「現存する建物について、創建以後に手を加えられた部分を原型に復す」との意)を基本とする方針を示した。今回の発表では、駅舎正面に設置されていた大庇をなくした外観のイメージイラストが公開されている。駅舎正面の時計や西側の通路上家などは創建後に増築されたものだが、ともに歴史的価値を尊重し、駅舎の修理完了後も残されることになった。

保存修理工事の完了は当初、2017年度末を予定していたが、耐震補強工事などの影響で工事完了予定時期が見直しに。2018年秋頃をめどに、駅舎を覆っている素屋根の解体を終え、駅機能を新駅舎1階に切り替える予定となった。2019年春頃をめどに2階も含めた駅全体の供用を開始し、2019年度中に連絡上家屋根葺替工事などを含めた全体工事の完了を予定している。駅開業に向けたイベントについても北九州市と協議を進め、「詳しい内容は決まり次第、別途お知らせします」(JR九州)とのこと。