日本の自殺問題、外国人の目にはどう映っているのか?

警察庁の発表(「自殺統計」速報値)によると、日本における2016年の自殺者数は2万1,764人で、22年ぶりに2万2,000人を下回った。しかし依然として、過労やいじめなどによる自殺が深刻な社会問題であることに変わりはない。

今回は日本在住の外国人20名に、日本で自殺が社会問題になっていることについてどう思うかを調査した。回答を見ていこう。

Q.日本では、過労やいじめ、うつ病などによる自殺が社会問題となっています。それについてどう思うか、母国と比較して教えてください。

■母国と比較すると……
・「イタリアも、もちろん同じ理由で自殺する人はいますが、それほど多くないと思います。良くも悪くも、感情を吐き出すことが多いのが原因かと思います」(イタリア/30代前半/男性)
・「とても悲しいことだと思う。日本と同様、母国ではいじめのケースもあるが、自殺率が日本より低い」(インドネシア/30代前半/男性)
・「ひどい。母国では自殺するケースがあまりない」(ベトナム/30代前半/女性)
・「深刻な問題だと思います。母国ではまだそこまで大きな問題になってはいないです」(インド/30代後半/女性)
・「韓国も同じ。社会競争が激しいこと、格差社会、貧困問題などが大きいと思う」(韓国/30代前半/女性)
・「どんな国にも同じ問題はあるため、別に日本だけがひどいわけではないので、特に何も思わない」(台湾/20代後半/男性)

■相談できる人がいない
・「深刻な問題ですね。日本人は団体行動が好きでありながら実際は孤独な人が多い。お互いに対してもっと責任を持ってほしい」(トルコ/30代後半/男性)
・「大変重要な問題だと思います。過労死はアメリカではほぼ聞いたことがなくて、いじめも、あったら必ず相談して解決するようにしています」(アメリカ/20代後半/男性)
・「人に相談できない、頼る人がいない、家庭教育がよくないなどが原因ではないでしょうか」(モンゴル/40代前半/女性)
・「本当に大変だと思います。一人暮らしが多いし、会社は厳しいし、島国の文化です。母国では一人暮らしは少ないし、まだ人々のつながりが強いので、経済的に厳しくても自殺までいかない人が多いと思います」(キルギス/30代前半/女性)
・「偏見を減らすために、さまざまな国籍や年齢の人と話す機会を作ってもっと会話をするべき。自国では知らない人同士でもコミュニケーションをすごくします」(エジプト/30代前半/男性)

■改善のためにできること
・「最近、いろいろと話題になりますが、残念ですね。母国では、他人をあまり気にせず、やりたいことをやるので、ストレスがたまりません」(ギリシャ/30代後半/男性)
・「日本人は仕事のことばかり考えているので、仕事がうまくいかないと大変ですよね。フランス人は仕事のほか、恋愛や趣味を大事にしているので、ひとつが大変になっても他にやれることがあるから自殺が少ないと思われます」(フランス/30代前半/女性)
・「悲しいですね。こんなに平和な国なのだから、感謝してお互いにリスペクトできたらいいと思います」(ドイツ/40代後半/女性)

■総評
「母国では日本ほど自殺する人が多くない」という考えのもと、日本人の自殺率の高さを「深刻な問題」と捉えている人が多かった。一方で、韓国出身と台湾出身の人は、"自殺は日本だけの問題ではない"という意識でいることもわかった。

自殺に至る経緯はさまざまだが、悩みを相談できる人が少ないことや、他者とのコミュニケーションが不足していることを指摘する声が目立った。そう指摘する外国人の母国では、友人や家族とのつながりが日本よりも強いことがうかがえる。

このほか、母国で自殺が少ない理由として「他人を気にせず、やりたいことをやり、ストレスをためない」「仕事だけに没頭せず、恋愛や趣味も大事にする」といった声も挙がり、国民性や文化の違いが浮き彫りとなっている。

※写真と本文は関係ありません

調査時期: 2017年1月23日~2017年2月28日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20人
調査方法: インターネット応募式アンケート