東京大学は3月13日、「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」分析結果報告を発表した。同大学社会科学研究所の石田浩教授、三輪哲准教授、小川和孝助教、有田伸教授らの研究グループが、2007年から毎年実施している「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」の2016年調査結果をもとに分析したもの。

裕福な世帯ほど学資保険の加入率が高い傾向

裕福な家庭の出身者は離家時期が遅い傾向

報告によると、29~49歳のうち、8割以上が親と離れて別の世帯を構えた経験があった。男性では学校・就業に関わる理由による離家が7割以上、女性では結婚を理由とした離家が半数以上を占めていた。また、社会経済的に恵まれた家庭の出身者は離家時期が遅い傾向が見られた。

週の労働時間、男性は70時間・女性は40時間超で結婚・出産経験が低下

2007年と現在を比較すると、典型雇用者(正社員)の労働時間は減少しており、とりわけ男性においてその傾向が顕著に見られた。

労働時間と家族形成の関連を見ると、男性は週70時間を超える過度の長時間労働の場合に、女性は40時間を基準として相対的に労働時間が長くなるほど、結婚や出産を経験する割合が低下していた。

裕福な世帯ほど学資保険の加入率が高い傾向

子どもを持つ人々のうち、57.9%が子ども保険(学資保険)へ加入していた。裕福な世帯ほど加入率は高く、子どもが女子のみの世帯では加入率がやや低い傾向が見られた。

子ども保険に加入している人々とそうでない人々の意識を比較すると、子どもへの教育意識には差が見られなかったが、「子どもにはできるだけ多くの財産を残してやりたい」と考えている人々が、子ども保険への加入者ではやや多かった。

人々の考える「危機」について自由回答形式で尋ねた結果、地震などの自然災害・天災を「危機」と考える傾向が、いずれの年齢・性別でもきわだって高かった。国際関係や、介護・老後問題を「危機」と捉える人々は、年齢が上がるにつれて多くなる傾向が見られた。