京都大学(京大)は3月13日、東京ガスと共同で、スマートメータ用無線通信規格の1つである「IEEE 802.15.4e RIT(Receiver Initiated Transmission)」に準拠した無線技術を開発することに成功したと発表した。

同成果は、同大 情報学研究科の原田博司 教授らと東京ガスらで構成される研究グループによるもの。詳細は、3月19日より米国・サンフランシスコで開催される国際学会「IEEE WCNC’17」にて発表される予定だという。

次世代型のガススマートメータ用通信システムは、無線の活用が検討されているが、ガススマートメータ自身が電源供給を行うことができないため、無線機も電池駆動が前提になると考えられており、こうした無線システムを実現させ、普及を図ることを目的に、IEEEの802.15.4e委員会では、低消費電力型無線通信用MACプロトコルの標準化が進められてきており、RITプロトコルはその標準方式の1つに位置づけられている。しかし、その通信頻度が増加した場合、電波の干渉による伝送効率が下がるという問題があり、その解決に向けた研究が進められていた。

今回、研究グループでは、RITに準拠しつつも、通信頻度が増加した場合にも通信効率を低下させない機能を追加した「F-RIT(Feathery-RIT」)方式を開発。RIT、F-RIT方式ともにシステム設計のための理論解析手法を確立した。また、この理論解析手法のもと、MACプロトコルとしてF-RITを搭載した無線機を開発。これを複数台用いて、干渉環境下において、通信を行う基礎実験にも成功したとするほか、1アクセスポイントに対する複数無線機(最大16機)からの通信を行う基礎実験にも成功したとする。

なお、東京ガスでは、今回の技術をベースに京大と共同で、IoTサービスの実用化に向けた研究開発を今後も継続して行っていくとしている。

開発された無線実機を用いた干渉環境下における通信実験 (出所:京大Webサイト)

開発された無線実機を用いた複数無線機からの通信実験 (出所:京大Webサイト)