東京金融取引所と富士通は3月10日、東京金融取引所が持つ市場監視のノウハウと、富士通が持つAI技術である「アノマリ検知技術」に関するノウハウを融合し、市場監視業務の精度向上と効率化向けた共同検討の実施で合意したと発表した。

共同検討の概要

東京金融取引所が上場する為替証拠金取引である「くりっく365」は、銀行や証券会社、商品先物取引業者に加えて、日本国内に拠点を持つ外国銀行や外国証券など多数の会社が取り扱っており、口座数は70万口座、証拠金預託額は4000億円超となるまでに成長したという。

注文・取引件数の増加に伴い、取引の透明性や公正性を確保し、安定した市場を維持することが強く求められている状況において、AIの利用による市場監視業務の精度向上及び効率化を検討することにしたとのこと。

東京金融取引所では、安定した市場を維持するために常にマーケットを監視し、適正な価格形成を妨げる注文の検知や、市場流動性の変化、急激な価格変動に対し、所要の対応を講じているという。

異常の判断は予め定めた基準値を基に行っているが、今回の共同検討では、AI技術を利用して、過去から現在までの注文、市場流動性、価格変動を基に、異常を判断することにより、市場監視業務の精度向上・効率化が達成できるかを目的としている。

共同検討では、富士通が提供する「FUJITSU Business Application Operational Data Management & Analytics 予兆監視モデル」(ODMA予兆監視モデル)を利用したアノマリ検知を行う。

アノマリ検知機能は、事前準備と運用の2つのステップに分かれており、事前準備では過去1年における取引データを基にした機械学習により「いつもの状態」のモデルを自動生成し、運用段階では常時発生するデータを作成したモデルと突き合わせ、「いつもと違う状態」が発生していないかを検証する。

アノマリ検知のイメージ

なお、アノマリ検知技術とは、「いつもの正常な状態」を機械学習によりモデル化しておき、その状態から外れる「いつもと違う状態」を検知することで、異常の予兆を監視するものであり、富士通北陸システムズが開発したAI技術だという。

AI技術による分析のイメージ