北大、脳の生物時計中枢における神経活動リズムを直接可視化

北海道大学(北大)は3月8日、ほ乳類の概日リズムを作り出す生物時計中枢における神経細胞ネットワーク活動を数日間連続モニタリングできる新規計測法を開発し、多数の神経細胞が一斉に同期した活動リズムを示すことを発見したと発表した。

同成果は、北海道大学大学院医学研究科光バイオイメージング部門 榎木亮介助教らの研究グループによるもので、3月7日付けの米国科学雑誌「Proceedings of the National Academy of Sciences(米国科学アカデミー紀要)」に掲載された。

概日リズムは体内時計とも言われ、ほ乳類においては脳の視床下部にある視交叉上核にその中枢が局在している。視交叉上核は網膜を介して光情報を受け固有の周期を24時間に調節し、全身の細胞や臓器に統一のとれたリズム情報を出力する。その結果、睡眠と覚醒、体温調節、ホルモン分泌などの生理機能に24時間のリズムが作り出される。

視交叉上核は数万個の神経細胞からなるネットワークを形成しているが、神経細胞の活動は膜電位変化の情報となって出力されるため、生物時計がどのように生体機能の24時間リズムを調節しているかを調べるには、多数の視交叉上核神経細胞から膜電位変化を数日間計測することが必要となる。

同研究グループは今回、緑色蛍光膜電位センサを視交叉上核の神経細胞に発現させ、高感度カメラ、恒温培養装置、顕微鏡などからなる光計測システムを用いて、膜電位変化を可視化することに成功。さらに、膜電位センサとは波長が異なる赤色カルシウムセンサを同時に神経細胞特異的に発現させて光の変化を計測することで、数百~千個の神経細胞から膜電位と細胞内カルシウムの概日リズムを同時計測することに成功した。

この結果、細胞内カルシウムの概日リズムは視交叉上核内で特徴的な時空間パターンを示し、個々の神経細胞間でリズムは同期していなかった。一方で、膜電位のリズムは神経細胞全体で同期していた。さらに同研究グループは、細胞種特異的に膜電位とカルシウムの2種のセンサを発現させてリズムを比較し、従来の定説とは異なり、細胞種ごとに両リズムの位相差が異なることを発見した。

同研究グループは今回の成果について、脳の時計が体のリズムを整える概日システムの基本メカニズムの解明につながることが期待されると説明している。

2種の蛍光センサーを利用した概日リズムの計測 (出所:北大Webサイト)



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