STMicroelectronicsは、非接触決済やデータ通信に対応する次世代NFC製品として、ブースタ技術を採用したNFCコントローラ「ST21NFCD」と最新のセキュア・エレメント技術を集積した「ST54システム・イン・パッケージ(SiP)ファミリ」2製品を追加したと発表した。

ST21NFCDは、アクティブ・ロード・モジュレーションを特徴としており、これまでよりも長距離で高速かつスムーズな決済が可能になるため、モバイル/ウェアラブル/IoT機器において優れた操作性を提供するとする。各種通信モード(カード・エミュレーション、リーダー/ライタ、ピア・ツー・ピア)をサポートするほか、NFC ForumのNCI 2.0仕様に準拠しており、NFCタグと通信を行うソフトウェアの開発を簡略化すると共に、データ交換のバッチ処理および自動処理をサポートすることで通信のオーバーヘッドを最小化することが可能となっている。また、NFC Forum Type 1~5、ISO/IEC 18092(NFCIP:NFCインタフェースおよびプロトコル)、および最新のEMVCoを含む決済規格にも適合しているほか、モバイル機器向けにGlobal Certification Forum(GCF)とPTCRBの認証を取得していると共に、端末によるMIFARE Classic暗号化タグの読み取りも可能となっている。

一方、ST54 SiPファミリの最新製品となる「ST54F」および「ST54H」は、NFCコントローラ「ST21NFCD」と組み込みセキュア・エレメント(eSE)として、Common Criteria EAL5+およびEMVCoなど、金融用途に向けた最高水準のセキュリティ規格の認証を取得しているARM SecurCore SC300プロセッサ搭載セキュア・マイクロコントローラ「ST33」を統合したもので、機器の小型化や使いやすさの向上と共に、複製やハッキングに対する保護を提供することを可能とする。ST54Fは、ST21NFCDとST33G1M2セキュア・エレメント(内蔵フラッシュメモリ・サイズ :最大1.28MB)を統合した製品で、ST54Hは、ST33G1M2の2倍の性能を持つST33J2M0セキュア・エレメント(内蔵フラッシュメモリ・サイズ:最大2MB)を搭載した製品で、サービス・プロバイダが提供する新しいデジタル・セキュア・アプリケーションとの接続を実現するものとなる。

なお、ST21NFCDおよびST54製品はいずれもすでに量産を開始しており、WFBGAパッケージ(64ピン、4mm×4mm×0.8mm)で提供される。