ダイエットをするうえで脂肪を燃焼させることは大切だ

ダイエットにとって大切なのは脂肪を燃焼させたり、筋肉をつけたりすることだ。この2つを一度にこなせるものとして運動があるが、多忙な日々を送る中で定期的な運動をするのは正直面倒だろう。ただ、食事を工夫すれば脂肪は燃焼させられるかもしれない。

科学に関するさまざまなニュースを紹介する「LiveScience」にこのほど、「脂肪燃焼とファスティングの関係性」にまつわるコラムが掲載されたのでその内容を紹介しよう。

アラバマ大学バーミンガム校栄養学部のコートニー・ピーターソン助教授らが実施した予備調査によると、断食でより多くの脂肪を燃焼させられる可能性があるという。

2016年後半の肥満学会年次総会で発表されたこの研究では、20~45歳の11人の過体重者が2つの異なる1週間の試験に参加した。

1回目の試験では、参加者は4日目以降、午前8時から午後2時までにすべてのカロリーを摂取した。対照試験では、参加者は4日目以降に午前8時から午後8時までに全カロリーを摂取し、各参加者は両方の試験に参加した。午後2時から翌朝午前8時まで食事をできなかったパターンでは、参加者は擬似的なファスティング(断食)状態にあったと考えられる。

両試験の間で参加者の体重を調べてみた結果、体重の減少に関しては違いがなかったが、脂肪燃焼レベルに関して言えば、午前8時から午後2時までで食事を終えたパターンの方が6%高かったという。また、同様に空腹感も安定していたとのこと。

「これは理に適っています。身体の脂肪燃焼能力は、12~14時間の絶食後にピークに達するからです」とピーターソン助教授は語る。絶食から12時間経過するまではグリコーゲンを燃焼させており、12時間後からは脂肪を燃やし始めるという。

スコットランドのアバディーン大学のシニアリサーチフェローのアレキザンダー・ジョンストン博士は、この調査には参加していなかったが、「この2つの違いは、一方に午後2時から翌朝午前8時まで18時間の絶食時間があったためと考えられる。しかし、このような差があるからといって、特定の時刻以降に炭水化物のようなものを食べると脂肪生成がされやすいという結論を導き出すことはできない」と意見を述べている。

今回の試験結果だけを見れば、カロリーを摂取できる時間を短時間に設定し、食事をしない時間を長くすれば、ダイエットに役立つ可能性があるかもしれない。最初は食事可能な時間を一日9時間とし、徐々に減らしていき最終的には6時間にするとよいとピーターソン助教授は推奨している。

ただ、6%の差は誤差の範囲内とも考えられるため、統計的に有意だとは言えない。しかも調査対象者の数が少ないということもあったため、より大規模な調査が必要との見解もピーターソン助教授は示している。

さらに妊婦と子どもはこのダイエット法を避け、重大な慢性疾患を抱える人は事前に医者と相談する必要があるとのこと。そして何より、ファスティングが長期的な体重減少に寄与するか否かは、まだ明らかになっていないと専門家たちは述べていることを覚えておいてほしい。

※写真と本文は関係ありません


記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。