日本政策金融公庫は2月28日、中小企業の雇用・賃金に関する調査結果を発表した。調査時点は2016年12月中旬、有効回答は5,144社。

2016年12月の賃金、「増加」は52.5%

2016年の正社員の給与水準を2015年より「上昇」させた企業は49.3%。2015年実績と比べて「上昇」の割合は1.1ポイント低下したが、3年連続で企業の約半数が給与を引き上げていることがわかった。他方、「ほとんど変わらない」は49.8%、「低下」は0.9%となった。

2017年の見通しを聞くと、「上昇」は44.4%と2016年実績より4.9ポイント低下。一方、「ほとんど変わらない」は55.0%と2016年実績より約5ポイント上昇した。

給与上昇の背景をみると、「自社の業績が改善」が43.9%と最も高く、以下、「採用が困難」が17.9%、「同業他社の賃金動向」が10.8%と続いた。

2016年の賞与(支給月数)を前年より「増加」させた企業は31.0%。2016年12月の賃金総額が、前年比で「増加」した企業は52.5%、「減少」は10.0%。2015年実績比では、「増加」は1.8ポイント低下したのに対し、「減少」は0.5ポイント上昇した。

賃金総額(出典:日本政策金融公庫Webサイト)

正社員が「不足」と回答した企業は50.2%で、前年同月より4.8ポイント上昇し、業種別では「建設業」(68.5%)が最も高かった。

正社員数を前年より「増加」させた企業は28.5%、「減少」させた企業は19.9%。2015年実績と比較すると、「増加」は2.4ポイント低下し、「減少」は1.9ポイント上昇した。一方、「増加」した企業の54.0%、「減少」した企業の64.7%が、正社員が「不足」している状況にあり、日本公庫は「必要な従業員を雇用できない企業が多く存在することがうかがえる」としている。