富士通は2月28日、4月21日から全社員約35,000人を対象に、オフィスに出社せず、自宅やサテライトオフィスでの勤務を可能にする「テレワーク勤務制度」導入することを発表するとともに、同社のICTを活用した働き改革について説明した。

テレワーク勤務制度について同社は、2015年から人事、総務、情報システム部門など、限定した約1200名の社員を対象にトライアルを実施。ここで出たさまざまな課題解決し、今回ある程度全社導入の目途がたったことから、4月から制度の本格運用を開始する。

2015年から限定的なトライアルを実施

今回導入するテレワーク勤務制度は組織単位での適用とし、自律的・計画的に働ける社員を対象に実施。利用回数の制限は設けないが、終日テレワークで勤務する場合は、当面、週2回を限度とする。また、休日や深夜時間帯はテレワークは原則禁止で、終日テレワークを実施する場合は、トータル8時間以内になるようにすることがルールとして定められている。

また、この制度を導入する趣旨を周知徹底するため、社員向けの事前説明会、eラーニング、管理職向けのマネジメント研修を実施するという。

「テレワーク勤務制度」概要

富士通 執行役員 人事本部長 林博司氏

同社 執行役員 人事本部長 林博司氏は、働き方改革への課題として「デジタル化の進展への対応」、「ダイバーシティの推進/労務構成の変化」、「長時間労働の縮減」の3つを挙げ、解決策としては「マネジメント改革」、「一人ひとりの意識改革」があり、制度やテクノロジーの活用が必要だとした。

同氏はデジタル化について、「専門性をいかに高めるかが重要で、従来の働き方からデジタル時代の働き方に変える必要があり、長時間労働を前提にしない多様で柔軟な働き方が求められる」と語った

具体的な働き方改革を実現する制度としては、今回導入するテレワーク勤務を柱に、フレックスタイムや裁量労働制、評価制度の見直しを実施する。

ICTの活用としては、仮想デスクトップ、シンクライアント、グローバルコミュニケーション基盤、時間意識を高める/勤務状況の見える化を促進するツール等を利用するという。

グローバルコミュニケーション基盤

グローバルコミュニケーション基盤については、同社は2010年から随時拡大しており、Web会議の利用は年間170万回(2016年度見込み)に達し、2011年度の出張費用は前年度に比べ、20%削減できたという。また、社内SNSコミュニティ数は4500(2017年1月時点)に達し、同社はICT活用による効果が出ているとした。

ICT活用による効果

時間意識向上のためツールとしては、「FUJITSU Software IDリンク・マネージャーII」を活用した残業時間申請システムを今年の4月から導入する予定だ。このツールでは、あらかじめ設定時間以降は、PCを使えなくする。

時間意識向上のためツール

また、マネジメントサポートツールとしては、PCやスマートフォンを利用してどこでも出退勤時間を打刻できるシステムを今年の1月から導入したほか、今後は、実場時間と実労働時間(打刻時間)のギャップがある場合は、管理職にアラームを挙げる仕組みを導入する予定だという。

マネジメントサポートツール

そのほか、働き方改革の一環として、東京汐留本社にサテライトオフィス「F3rd Sihodome」を整備。本社以外の社員の作業場として解放している。今後は、他の事業所のほか、主要駅にもサテライトオフィスを整備していくという。

汐留本社内のサテライトオフィス「F3rd Sihodome」。中にはテレビ会議、ミーティングスペース、個人が集中できるスペースがある

林氏は今回の取り組みにおけるKPIについて「部門によって違いがあり、営業は会議時間、移動時間を削減するなど、部門ごとに設定して取り組んでいく」とした。