マライア・キャリー、年越しイベントでの事故、そして新恋人について語る

マライア・キャリー、年越しイベントでの事故、そして新恋人について語る

マライア・キャリーに自宅インタヴューを敢行。婚約解消や年越しイベントの失敗など"悲劇の年"に終わった2016年を乗り越え、2017年の展望を語った。「ダンサーもダンスを放棄して、私があの馬鹿げたステージから降りるのを助けるべきだった」と年越しイベントでの事故について振り返った。

マライア・キャリーが数週間前に入居したビバリーヒルズの豪邸のセキュリティ・ゲートを通り抜けると、そこには派手な光景が広がっていた。2本のピンクの柱がそびえ立ち、玄関先にはマゼンタとメタリック・カラーの風船が昼下がりの風になびいている。2日前のバレンタイン・デイの飾り付けがまだ残されているのだ。彼女のイベント好きを考えれば、そのこと自体はさして驚くべきことではない。毎年、年末には『恋人たちのクリスマス』がいたるところでかかり、クリスマスの女王の名を欲しいままにする彼女が、2016年1月には大富豪ジェームズ・パッカーとの婚約で、その年のクリスマスを待たずして再び女王の座を楽しんだ。

それから1年、彼女の2017年は前年の出来事を白紙に戻すところから始まった。彼女の日常を赤裸々にカメラに収めるリアリティ番組『Mariahs World』で観ることができるように、彼女はパッカーとの婚約を昨年10月に解消し、そしてダンサー/振付師であり現在のボーイフレンドのブライアン・タナカとの交際をスタートさせたのだ。2月16日に行った取材の際には、"デム・ベイビーズ"の愛称で知られるキャリーの5歳の双子が遊ぶゲストハウスの横にあるプールエリアで、タナカが4歳のピットブル"ミラ"と戯れている姿が見えた。キャリーがYGをフィーチャーしたシングル『I Dont』をリリースしたのは、この取材の1週間前のことだ。同曲のMVでは、キャリーは結婚式で着用する予定だった25万ドルのウェディング・ドレスを燃やして見せることでパッカーを粛清している。

彼女が今の時期、この喧騒を逃れられる豪邸で新たなスタートを切りたいことは理解できる(ちなみにベッドルーム9部屋とバスルーム10部屋、さらにテニスコートやジャングルジム(…と呼ぶには豪華すぎるが)を備えるこの豪邸の家賃は月10万ドルである)。2016年に起こったさまざまな問題から距離を置き心機一転を望む彼女だが、最も距離を置きたいのは、現在彼女のキャリアに暗雲をもたらしているあの出来事、すなわちメディアやSNSでさんざん非難されている年越しイベントでの「口パク事件」だ。

「もうこのことについて話すのはウンザリしているけど、でもみんながそのことについて話しているのはどうしようもないことね」と彼女は自宅内でのローリングストーン誌の取材に答えた。金のボタンがアクセントの黒のドレスをまとった彼女はひときわゴージャスで、ダイアモンドが輝くフープイヤリング、蝶をあしらった指輪と、その蝶を呼び寄せるような銀色の光を放つネイルがグラマラスな印象に華を添えている。彼女は独特の姿勢で、話すときに相手の目をじっと見つめて話す。そしてあまり答えたくない質問をされた際には、そのことも表情にはっきりと出る。

年越しイベントについての彼女の説明は、事件直後のメディアへのコメントと一致している。イベントを担当した制作会社のディック・クラーク・プロダクションが、ショーの前にインナーイヤー・モニターに問題がありそれを直すように訴えたマライアのリクエストを無視したというものだ。「世界中の人々にうまく説明できるようなものではないの。彼らにはわからない。彼らはこのビジネスに関わっていないんだもの。私がオフィスで働いている人のこと、そしてその人の仕事のやり方について理解できないのと同じこと。無理があるのよ。それに関わっている人しかわからないことというのがあるの」。

キャリーは今年に入ってから、メディアへの露出はほぼしていない。この日は今年に入ってから初めてのプレス・デイであり、『ジミー・キンメル・ライブ!』で『I Dont』を披露した翌日だった。完全生演奏で行われたパフォーマンスでの彼女のヴォーカルは際立っており、彼女の歌声が健在であることを世間に知らしめるものとなった。彼女がこのパフォーマンスで"汚名返上"に成功したという人たちもいるが、そもそもあの年越しイベントが彼女のキャリアにとってそれほどの汚点となったとは言い難い。彼女は18枚のナンバーワン・シングルを世に送り出し、アメリカの女性アーティストとしてバーブラ・ストライサンド、マドンナに次ぐ第3位の売上を誇る輝かしい実績の持ち主なのだ。彼女はキャリアを通して数十年にわたり美声を世に響かせてきたことに加え(「"数十年"は余計よ」と彼女は言うが)、パフォーマンスでの事故は数えるほどしかなかった。そしてそのいずれも、今回の年越しイベントほどに注目されたことはなかった。

では2017年はどのように騒ぎに対処していくのか?「以前は、物事に腹を立てたりもしていたわ」と語る彼女は、年越しイベントについて「このことは私がコントロールできる範囲外のことだったし、あれほど滅茶苦茶な状況でなければ、私がなんとかすることもできたでしょう。ダンサーもダンスを放棄して、私があの馬鹿げたステージから降りるのを助けるべきだった。とにかく滅茶苦茶だったのよ。私はこのパフォーマンスに関わった全ての人を非難するし、自分自身もリハーサルの後にあの場を離れなかったことを後悔しているわ」と続けた。

話題は家族のこと、特にタナカとの交際の進み具合についてのことに移っていく。パッカーとの破局の後、2人が公式に交際を発表するまでの期間は比較的短かったが、2人の友人としての関係のはじまりはタナカがキャリーのツアー・ダンサーを務めていた2006年まで遡る。その後『Mariahs World』でタナカが"本当にパッカーと結婚したいのか"とキャリーに問うシーンから関係は一気に近くなった(このシーンはインターネットでバズを起こすことになるが、多くの人々はヤラセだと感じていた)。最近では、バレンタイン・デイの日に2人がバスタブでくっついている写真をインスタグラムに投稿している。交際は順調だと考えているようだ。

「この交際が以前の交際以上に人目に晒されているとは思わない」と彼女は語る。「本当よ。私としては、もう少しプライベートにできたらいいとは思うけど、でも彼と遊びまわったりはしないわ。"あら、お盛んね!"なんて思われるだけだから。みんなリアリティ番組を見ているんだから、そうするのは自然なことよね」。

新曲からもわかるように、キャリーはレコーディングに肩の力を抜いて向き合えるこの時代を楽しんでいるようだ。『I Dont』は、ドネル・ジョーンズの『Where I Wanna Be』からサンプリング及び歌詞を借用し、キャリー流に料理した単発シングルだ。彼女は、現在トレンドとなっているサンプリング/リメイクを最初期からやってきた歌手の一人である。『I Still Believe』に『Pure Imagination』を掛け合わせたリミックスから、ランニングマン・チャレンジの人気で昨年再び日の目を見ることになったゴースト・タウン・DJズの『My Boo』と『H.A.T.E. U』とのリミックスまで、彼女のリミックス・ワークスは名曲の宝庫といえる。「今のトレンドが、"様々な過去の曲をサンプリングして生き返らせる"ということで、それはまさしく私がこれまでやってきたことなのよ。元ネタが80年代でも90年代でも構わない、今はそういう時代なの」。

ひどく過小評価されている2014年のアルバム『ミー。アイ・アム・マライア』に続くアルバムの録音の予定は今のところないキャリーだが、DJキャレドとトラビス・スコットと共にスタジオで"コンセプチュアルなもの"に関わっているという話はある。しかしながら彼女によれば、まもなくスタートするライオネル・リッチーとのツアーの合間にシングルのレコーディングを行っていく予定のようだ。

取材では写真の撮影も行った。暖炉の火が彼女の肌とよくマッチしている。そして彼女は現在、双子とバケーションを過ごしているこの無意味に巨大な感すらある家を、単なる建物から"家庭の場"としようとしている。「みんなそれぞれ私について思うところがあると思うし、"彼女はマライア・ルールで生きられるのね"って思う人もいるでしょう。でも、私は私のすべきことに全力を尽くしているわ」。


本記事は「ローリングストーン」から提供を受けております。
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