JR西日本87系寝台気動車「トワイライトエクスプレス瑞風」新型車両の概要は

JR西日本の新たな寝台列車「TWILIGHT EXPRESS(トワイライトエクスプレス)瑞風」の車両初お披露目の記念式典・報道公開が23日に行われた。この中で「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」に使用される新型車両「87系寝台気動車」の概要も明らかにされた。

「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」として運行される新型車両は「87系寝台気動車」

87系寝台気動車は川崎重工・近畿車輛により製造された10両編成で、車体構体は「鋼構体、アルミダブルスキン構体」、主回路は「ハイブリッド方式」「2レベル電圧形PWMインバータ」、台車装置は「軽量ボルスタレス台車(ヨーダンパ付)」とされている。エンジン・発電装置は1・5・6・10号車、主回路バッテリは2・4・7・9号車に搭載。左右フルアクティブ動揺防止装置・上下セミアクティブ動揺防止装置を全車に採用した。

最高運転速度は110km/h。回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを採用し、保安装置は統合型ATS(P、DW-S形)でEB装置(緊急列車停止装置)・TE装置(緊急列車防護装置)も備える。衝突時の安全対策として「前面、オフセット、側面衝突対策構造」とし、「運転状況記録装置」「映像及び音声記録装置」「車両異常挙動検知システム」「火災検知装置」「自動消火装置(発電装置、主回路バッテリ)」といった安全装置などを装備した。おもな走行線区は東海道本線、山陽本線、山陰本線、呉線と伯備線の一部区間とされている。

10両編成のうち、展望車の1号車「キイテ87-2」・10号車「キイテ87-1」は制御内燃車、ラウンジカーの5号車「キラ86-1」と食堂車の6号車「キシ86-1」は内燃車、客室の2号車「キサイネ86-101」・3号車「キサイネ86-301」・4号車「キサイネ86-401」・7号車「キサイネ86-501」・8号車「キサイネ86-201」・9号車「キサイネ86-1」は付随車。空車重量(計画)は制御内燃車(1・10号車)約55トン、内燃車(5・6号車)約58トン、ダブルデッカー車の7号車が48.7トン、7号車以外の付随車が40.3~43.8トンとなっている。

1・10号車(制御内燃車)は展望車。運転席に視線をそろえた席も用意された

1号車は「キイテ87-2」

ラウンジカーの5号車(内燃車)は「キラ86-1」

6号車(内燃車)の食堂車にはオープンキッチンも

2・3・8・9号車(付随車)の「ロイヤルツイン」は収納式のベッドにより、昼間のリビングスペースを確保している

サービスクルー室も設置

4号車(付随車)の「ロイヤルシングル」401号室

「ロイヤルシングル」402号室は2段ベッドを備える

403号室はユニバーサル対応の「ロイヤルツイン」

5号車に列車長スペース、4号車に車掌室・業務用室を設置したほか、2・3・8・9号室にサービスクルー室、1・10号車にサービスクルー寝室も用意された。サービスクルー寝室の定員は1・10号車ともに8名。旅客定員は30名(エキストラベッド使用時の最大定員34名)で、「ロイヤルツイン」の2・3・8・9号車がそれぞれ3室6名、ユニバーサル対応「ロイヤルツイン」と「ロイヤルシングル」を備えた4号車が3室4名(エキストラベッド使用時6名)、「ザ・スイート」の7号車が1室2名(エキストラベッド使用時4名)となる。

「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」テーマ曲は葉加瀬太郎氏が作曲

「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」は昨年3月の車両搬入以来、車体保護の黒いラッピングが施されていたが、2月23日の記念式典にて「瑞風グリーン」の車体色に金色のエンブレムとラインを配した外観が初披露された。記念式典にはJR西日本代表取締役社長の来島達夫氏、デザイン統括・インテリア監修を担当した建築家・インテリアデザイナーの浦一也氏、エクステリア監修を担当したインダストリアルデザイナーの福田哲夫氏、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」アンバサダーを務めるヴァイオリニストの葉加瀬太郎氏が出席した。

「外観は鮮やかなダークグリーン。ちょっと懐かしさもあるデザインで、上質なホテルが走り出すような空間づくりをめざしました」と浦氏。車内は昭和初期のアールデコ調をベースとしており、「天然木を多く使ったツインルーム・シングルルーム。1両全体を使い、バスタブも備えた最高級のザ・スイート。フォーマルで上質なテーブルサービスを行うダイニングルーム。ラウンジは落ち着いた雰囲気で、茶の湯を楽しむ卓やバーなどもあります。先頭車は開放的な展望車で、最後尾の車両ではデッキに出られます。運転席に視点をそろえたシートも用意しました」(浦氏)とのことだった。

福田氏は外観について「中間車の側窓は室内からの眺望を最優先し、機能的な配置がなされています」「高運転台はこれまでのJR西日本の優等車両を意識し、緑濃い車体色もトワイライトエクスプレスのアイデンティティを踏襲したものです」と説明。先頭車のデザインにも触れ、「展望デッキを囲む5本の動的な流線は、1930年代に一世を風靡(ふうび)した流線形の車両群へのオマージュでもあり、同時に新しい時代の兆しを感じる旅のイメージをダイナミックに表現したものでもあります」と述べた。

記念式典では、アンバサダーの葉加瀬太郎氏が作曲したテーマ曲「瑞風~MIZUKAZE」も初披露された。「昨年末、瑞風が走る予定の奥出雲・萩・尾道・倉敷を旅し、この1月に曲が完成しました。僕の作った曲が、クルーも含むすべての皆様に末永くかわいがっていただけることを心から祈っています」と葉加瀬氏。実際に車内も見学したとのことで、「信じられないほどの完璧さ。瑞風自体が妥協のない作品だなと思いました。僕も早く乗りたいです(笑)。素晴らしい列車だと思います」とコメントした。

「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の記念式典にクルーも登場。葉加瀬太郎氏によるテーマ「瑞風~MIZUKAZE」の生演奏も

多数の報道関係者らが集まる中、ラッピングを外した「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」が初披露された。記念式典の後、転線の様子も公開された

「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」は6月17日から運行開始される。JR西日本代表取締役社長の来島達夫氏は、「瑞風の構想から長い時間をかけ、多くの方々のお力添えもあって完成の運びとなりました。ここから気持ちを新たに、運行に向けた最後の準備を進めてまいります。山陽・山陰エリアの自然や文化を感じられるしつらえで、沿線の方々によるオリジナルの調度品も多く取り込まれています。車窓の景色だけでなく、車内にいても西日本エリアの良さを感じられる列車に仕上がっていると思います」と話していた。

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