トヨタ、新設計の基材を用いた排出ガス浄化触媒を商品化

トヨタ自動車は22日、排出ガス浄化触媒の基材において、デンソーと共同で開発した新設計の「FLAD」基材を用いた触媒を商品化したと発表した。この触媒は、2017年春頃発売予定のレクサス「LC500h」を皮切りとして、新型車両に順次搭載していく。

触媒の構造

このほど新たに開発された「FLAD」基材は、中心部と周辺部でセルの断面積が異なる構造をしており、これを一体成形する設計・製造技術により量産化を実現した。従来型の触媒は、セル断面積が均一となっている。同社によれば、この一体成形による量産化は「世界で初めて」の事例とのこと。

既存の排出ガス浄化触媒の「ムダ」をなくす新設計

現在、一般的に使用されているガソリンエンジン用の排出ガス浄化触媒の基材は、セラミックス(コージェライト)を材料とし、四角形や六角形のセルで構成されたハニカム構造となっている。この基材内部のセルの壁面に触媒機能を付与するための白金(Pt)やロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)などの貴金属を含む触媒材料を塗布し、排出ガス中の有害な一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)を浄化(酸化・還元)して無害化する。

排気管に搭載された触媒内部の排出ガスの流れが均一であれば、塗布した貴金属などの触媒材料を排出ガス浄化に有効に利用できる。しかし、触媒中心部の排出ガスの流れは周辺部よりも速く、多くの排出ガスが流れるため、セル断面積が均一な従来型基材では排出ガスの流れに偏りが発生してしまう。このため、排出ガス通過量が多い中心部は、浄化性能を確保するために多くの量の触媒材料が必要となる。

触媒内部の排出ガスの流れ

一方、現在の触媒材料の塗布技術では、全てのセル壁面に一律に塗布する工程とならざるを得ないため、排出ガス通過量の少ない部分にも、排出ガス通過量の多い部分と同量の触媒材料を塗布している。大気汚染改善に向け排出ガスをクリーン化するために触媒貴金属の使用量を増加させることは、コストアップや資源枯渇問題など課題が多い。このため、触媒貴金属の浄化性能を効率化する対策として、最適な基材の形状・長さ、セルの壁厚、セル断面積の改良、貴金属を含む触媒材料の塗り分け、排出ガスの流れに合わせて触媒基材のセル密度を変えるなど様々な研究・開発を行ってきた。

「FLAD」基材は排出ガスの流れの均一化を追求したもので、中心部と周辺部を構成する各セルの断面積の比率や、セルの密度が異なる中心部と周辺部のそれぞれの断面積の比率など最適な値について、シミュレーションや試作基材を使った検討を繰り返して検証し、触媒内部の排出ガスの流れの均一度を向上させた。これにより、従来型と同等の排出ガス浄化性能を維持しながら、貴金属使用量を約20%低減させるとともに、触媒容量の約20%小型化を実現した。

同社は、今後も「より少ない貴金属使用量で、よりクリーンな排出ガス」の実現に向け、グループ会社・関係取引先と共同で、触媒の技術開発に積極的に取り組んでいくとしている。

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