ルフトハンザドイツ航空は2月15日、運航乗務員が所属する労働組合「Vereinigung Cockpit(VC)」との労使交渉で、ギュンター・プロイガー弁護士による和解勧告を受け入れたことを発表。パイロットの人件費は年間約8,500万ユーロ増加することになる。

和解勧告の内容は、ルフトハンザ、ルフトハンザ カーゴ、ジャーマンウィングスに在籍し、グループ賃金協定が適用されるパイロット5,400人について、4段階で計8.7%程度給与を引き上げることで合意。2016年1月1日にさかのぼって2.0%、2017年1月1日時点でさらに2.3%の昇給を実施する。

2018年1月1日と2019年1月1日にも、給与をそれぞれ2.4%、2.0%引き上げる。また、フルタイムの乗務員ひとり当たり5,000~6,000ユーロ、総額3,000万ユーロの追加一時金を支給。この新たな賃金協定は2019年末まで有効となる。

コスト増加分を補填するため、グループ賃金協定対象外の機材40機を運用する。これらの機材を運用するための新たなプラットホームについては、今後数週間で詳細が決定する見通しとなっている。なお、地上職員並びに客室乗務員の雇用への影響はないものとしている。

ルフトハンザ グループ取締役で、人事・法務を統括するベッティーナ・フォルケンス氏は、「ギュンター・プロイガー弁護士の和解勧告を歓迎するとともに、事態打開へ向けご尽力いただいた氏に感謝を申し上げます。我々はコックピットのコスト削減により、さらなる成長を目指すべく協議を開始しました。しかしながら、和解勧告の実行によりパイロットの人件費は増加することになります。他の団体協約で補填できない場合、機材計画の変更は避けられません。我々は現行のグループ賃金協定のもとでの成長を目指し、コスト削減の道を見いだすべく、団体交渉のパートナーと共に懸命な努力を続けていく所存です」とコメントしている。

ルフトハンザは現在、主たるハブ空港であるフランクフルトとミュンヘンに加え、ウィーンとブリュッセル、チューリッヒにもハブ空港を設置しアジア太平洋地域におけるゲートウェー18都市と、世界76カ国・地域の194都市を結んでいる。グループ全体の2015年の輸送旅客数は計1億770万人にのぼり、2016年冬期スケジュールでは毎週9,900便以上を運航、世界101カ国・地域の計255都市を結んでいる。

アジア太平洋地域を発着する長距離路線用機材には、環境に配慮した旅客機であるボーイング747-8、およびエアバスA380の2機種も導入。ルフトハンザは欧州の航空会社として最も多くのA380を運用しており、747-8のローンチカスタマーでもある。グループ全体では、現時点で新機材214機を発注済みで、これらは2025年までの納入が予定されている。