キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は2月21日、3D CADソフトウェア「SOLIDWORKS」向け設計業務支援ツール「SOLiShie(ソリシエ) for SOLIDWORKS」の提供を開始したと発表した。

同ツールは、これまで同社を経由してSOLIDWORKSを購入、保守契約を結んできたユーザー向けに提供してきたさまざまな便利ツールを、同社と保守契約を結んでいないユーザーにも活用してもらうことを目指して開発されたもの。同社エンジニアリングソリューション事業本部 企画部 企画課 課長である歌田拓史氏は、「SOLIDWORKSのイベントなどで、多くのユーザーから販売を希望する声を聞いており、そういたユーザーのために外販することを決定した」と販売の経緯を説明しているほか、「自社開発によるツールを提供できることを示すことで、単なる物売りではなく、カスタマイズサービスや開発力といった技術力を背景としたサポートを提供できることの証明」といった意味合いも込めたものとなっているという。

今回、第一弾として有償提供される機能は全部で61。「モデリング」、「図面」、「ユーティリティ」、「データ管理」、「コンテンツ作成・解析」、「PDM」といった6つのカテゴリに分けられており、ユーザーは、自身が必要とする機能のみを購入することが可能。ライセンス形態としては、SOLIDWORKSがインストールされているPCごとにIDを設定し、そのIDに紐付ける形で提供される。SOLIDWORKSのバージョンとしては2015/2016/2017をサポートしており、購入した各機能はバージョンごとにも紐付けられることとなる。ライセンスの有効期限は60機能が5年間で、唯一「SNLライセンスログ分析」のみ1年間となっていることに注意が必要だ。

SOLiShieとして提供が始まった61のSOLIDWORKS向けアドインモジュール群。ユーザーは必要な1機能から購入することが可能

価格は1機能あたり9800円(税別)だが、61機能すべてを一括購入する場合に限っては30万円(税別)で、ライセンスも無期限となる仕様となっている(同社と保守契約を締結している場合は従来どおり、無償で利用可能)。

また、SOLiShieの提供開始に併せて、同社Webサイト上にインストールガイドや操作マニュアル、良くある質問なども公開されているほか、61機能それぞれの概要説明などをした動画(Youtube)も用意しており、それぞれがどういった機能なのかを手軽に知ることができるような工夫が施されている。

「SOLiShie(ソリシエ)」設計業務支援ツール:M-1 スケッチ基準線作成紹介の動画。キヤノンITSのSOLiShie for SOLIDWORKSのページをクリックすることで各機能ごとにこうした説明動画を閲覧することができる

なお、ライセンスファイルの購入はVectorの「PCプロサイト」ショップにて行われるが、モジュールインストーラはキヤノンITSのWebサイトから入手する必要がある。

キヤノンITS WebサイトのSOLiShieの説明などが記されたページ

ちなみに同社では、SOLiShieという名称を3Dツールのブランドとして育てていきたいという意向を示しているほか、前述の歌田氏によると、「これまで、ほぼ1年に1回のペースで業務支援ツールとしてのバージョンアップを行ってきたが、その流れは今後も継続していきたい」とするほか、SOLiShieのブランド化に向け、「さらなる機能拡充や、ほかの3Dツールへの対応なども将来的には図っていきたい」とし、自社が有するデータセンターやクラウド技術などとの連携なども含めて、ユーザーの利便性向上に向けた取り組みを進めていくことを強調していた。

キヤノンITSが取り扱っている3D製品はSOLIDWORKSのほか、iCAD SX、NX、PTC Creo、AutoCAD、TurboCADなど多岐にわたっており、将来的にはSOLiShieは、こうした3Dツールをサポートするツール群のブランドへと成長させていきたいというのが同社の目指すところとなるという