米国ニューヨーク州立大学(State University of New York)Polytechnic Institute(SUNY Poly)は2月9日(米国東部時間)、同キャンパスのナノテク研究団地「Albany Nanotech Complex」を本拠とするSiCデバイス実用化コンソーシアム「New York Power Electronics Manufacturing Consortium(PEMC)」が、パターン付き150mm SiCウェハのファーストロットを同所のウェハ試作ラインで産出したと発表した。

図1 PEMCにとって最初のパターン付き150mm SiCウェハ (画像提供:SUNY Poly)

図2 PEMCの150mm SiCウェハのファーストロット (画像提供:SUNY Poly)

リソグラフィでどのようなパターンが形成されたか明らかではないが、MOSトランジスタ形成に向けた絶縁材料および導電材料の層を含んだTEGのようだ。この成果は、引き続きSiC MOSFET試作・量産を行うための重要なマイルストンであり、ニューヨーク州が総力を挙げて取り組むSiCデバイス開発が順調に進行している証しだとニューヨーク州立大学関係者は話している。

PEMCは2014年7月15日にアンドリュー・クオモ ニューヨーク州知事が発表した産官学プロジェクトで、ニューヨーク州が1.35億ドル出資し、民間資金3.65億ドルと合わせ、総額5億ドルのコンソーシアムとして設立された。米国を代表する企業の1社であるGeneral Electric(GE)の技術陣が中心となり、5年間にわたってプロジェクトを推進してきた。現在は100社以上の企業が集まり、150mmの低コスト・高性能SiCウェハを開発・製造し、コンソーシアムメンバーがこれを使った製品化を行うという段階にある。SiCウェハプロセスはSUNY PolyのAlbanyキャンパスにある同大学所有の150mmウェハラインで行い、SiCパッケージングの研究開発はSUNY Poly UticaキャンパスにあるSUNYコンピュータチップ製品化センター(Quad-C)で行われている。

図3 ニューヨーク州Albanyのニューヨーク州立大学キャンパス内にあるPEMCの150mm SiC試作ライン (画像提供:SUNY Poly)

なお、日本でもPEMCに対抗し同時期(2014年~2019年)に内閣府/NEDOが出資した産業総合研究所中心のプロジェクトが進行している。