新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2月13日、クアーズテックが1000℃を超える高温域でも熱伝導率が上昇しない、RCF(リフラクトリーセラミックファイバー)フリーの工業炉用断熱材の製造技術を開発したと発表した。

同断熱材は、セラミックスの多孔化技術を応用し、断熱材に含まれる気孔径をシングルミクロン単位で制御することで、高温での熱伝達を支配するふく射光を効率良く散乱させることで高温域における熱伝導率の上昇を抑制したことで実現したもの。また、気孔径制御と気孔率向上を両立させる技術も開発。断熱材の低密度化に成功したとする。

さらに、断熱材を成形する工程で、スラリーを型に流し込んで硬化させるキャスト成形技術を開発したことで、さまざまな形状の断熱材を作製することを可能にしたという。

なお、実際の工業炉を使用して、従来のファイバーボードを断熱材として用いた場合と消費電力を比較した結果、新たな断熱材では高温であるほど省エネルギー効果が大きくなり、1500℃定値運転では消費電力が約13%低下する結果が確認されたとのことで、クアーズテックでは今後、実際に事業化を目指したユーザー評価や改良を進めていく予定としている。

今回試作された断熱材の外観