エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ(NTT-AT)は2月9日、双方向・マルチデバイス対応の新たな情報配信サービスである「@InfoCanal(アットインフォカナル)」を2017年4月1日から提供開始すると発表した。価格は、初期費用・年額費用とも数百万円から。5年間で50自治体への導入を目指す。

新サービスは、情報配信サービスにおいて人口カバー率が高い携帯電話網やWi-FiなどのIP通信網を利用し、容易で確実な同時配信と即時集計を実現するという。また、これまで情報配信の課題だった不感地帯対策や到達・鳴動の確認、配信手段の多様化、導入コスト削減・期間短縮、運用負担の軽減などを解決し、災害時でも平時でも多様なユースケースに適用可能としている。

「@InfoCanal」のサービス概要

同サービスの特徴として「情報配信」「状況把握」「導入・運用・平時利活用」の3つを挙げている。情報配信では広範囲なサービスエリア、多様な情報受信手段、確実な通信方式を備える。

また、状況把握においては、リアルタイムな状況把握、シナリオ形式のアンケート配信による状況確認、把握済みの状況に応じたきめ細やかな情報の配信・再配信などとなる。さらに、導入・運用・平時利活用では、導入コストの削減と導入期間の短縮、クラウド型サービスによる管理者(情報配信者)の運用負担の軽減、災害時・平時を問わず幅広いシーンで利用できるという。

シナリオ形式のアンケート配信による状況確認の例

利用シーンに関しては、防災用途専用の設備・サービスと異なり、災害時・平時問わず利用可能としている。高齢者に対する見守りや地域情報の配信など、平時においても多様なシーンに有効利用できるという。具体的には、住民向けの情報配信や、自治体職員・企業向けの安否確認(企業でも適用可)、参集および避難所情報収集、消防団、登山者向け安全確認・SOS発信、野外作業中の落下・転倒検知、学校運営の支援、大規模イベント運営などを挙げている。

なお、同社は2017年1月から北海道知内町において同サービスの実証実験を実施しており、「知内町まち・ひと・しごと創生総合戦略」における「ICT を活用した安心暮らし創造事業」に基づくものとなる。

同調が掲げる「今後の高齢化時代に向けた高齢者福祉の充実と安心して暮らせる地域づくりの推進」「公共交通の利便性の向上」及び「緊急通報システム機材の耐用年を見据えた更新」を踏まえるとともにに、「平成31年(2019年)を目途とした現在運用中のアナログ防災無線からの完全移行」などを趣旨としている。

同検証においては、同サービスの導入により、趣旨に基づいた効率的・効果的なサービスを提供可能であるかを確認する。町内約50世帯を対象にタブレット端末を配布し、情報配信機能を用いた防災情報・地域情報の配信、シナリオ形式の状況確認機能を用いた高齢者に対する見守りや子育て世代への支援などの実証検証を行っている。

今回の検証結果を受け、将来的に同町ではタブレット端末の全戸配布および防災・見守りなどの情報配信・状況確認サービスの一元化を見据えた検討・実証を、2017年度以降も継続していく考えだ。