日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は2月7日、サミットエナジーが電力事業における多様な変動要素を考慮したシミュレーションにより予算や計画の精度を向上する戦略的な収支管理システムの運用を開始したと発表した。

小売電力事業は、需要家の契約件数、契約規模、天候や曜日などにより需要量や供給量が変動するほか、電力市場取引の量や価格、原油・LNG・石炭の各貿易統計価格に応じて収支が変動するため、事業計画の策定が難しいといった課題があった。

同収支管理システムは、需給管理や顧客管理といった関連システムから連携される需要や電源の契約情報や実績情報に加え、営業販売計画も含めた入力データをもとに、IBMのクラウド型プランニング・エンジン「IBM Planning Analytics」を活用して、想定される需要や電源の規模、営業販売計画の変動、市場取引や貿易統計の変動に応じた将来収支を、多様なパターンで算定することで、事業計画の精度を向上させ、計画作成業務を効率化することを可能とするもの。サミットエナジーでは、約15年間にわたり、バイオマス・風力・太陽光など自社発電所による電力供給を強みとして、電力事業を行ってきたほか、2016年からは家庭向け低圧供給も開始していたが、電力システムの変化や家庭用、直販以外のチャネルを通じた営業活動など、従来とは事業構造が変化していることを受け、将来事業計画の精度を向上させ、効率的に運用していくことを目的として、同システムの導入を決定したという。

なお、日本IBMでは、今後も継続するであろう電力システム改革などに加え、2017年4月から始まるガス小売事業の全面自由化も視野に入れ、エネルギー事業の効率化および高度化を支援していきたいとしている。

多次元データベースであるプランニング・エンジン(Cognos TM1)を活用し、目標設定や予算編成、レポート作成、スコアカード処理、分析、予測など、計画策定サイクル全体を支援するビジネス・インテリジェンス(BI)とパフォーマンス・マネージメント(企業業績管理)を実現するクラウド型アナリティクスソリューション「IBM Planning Analytics」のイメージ