国際科学技術財団は2日、2017年(第33回)日本国際賞を、暗号技術を開発したワイツマン科学研究所(イスラエル)のアディ・シャミア教授(64)と、ゲノム(全遺伝情報)を狙い通りに改変できるゲノム編集技術を開発したマックス・プランク感染生物学研究所(ドイツ)のエマニュエル・シャルパンティエ所長(48)、米カリフォルニア大学バークリー校のジェニファー・ダウドナ教授(52)の3人に授与すると発表した。 授賞式は4月19日に東京都内で開催され、シャルパンティエ氏とダウドナ氏にそれぞれ賞金2,500万円が、シャミア氏には5,000万円が贈られる。

左から、アディ・シャミア氏、エマニュエル・シャルパンティエ氏、ジェニファー・ダウドナ氏
(顔写真はいずれも国際科学技術財団提供)

シャミア氏の授賞理由は「先導的暗号研究による情報セキュリティへの貢献」で、高度な安全性が期待され、現在インターネットなどで活用されている「RSA暗号技術」を開発した。

シャルパンティエ氏とダウドナ氏の授賞理由は「CRISPR-Cas(クリスパー・キャス)」によるゲノム編集機構の解明」。「クリスパー・キャス9」と呼ばれる代表的ゲノム編集技術を開発した。この技術は「クリスパー」と呼ばれる分子の働きを利用、「キャス9」と呼ばれる酵素を“はさみ”のように使って狙ったDNA配列部分を切断する仕組み。ゲノム編集は、特定の遺伝子を正確に改変できることから生命科学、医療から農畜産物など広い分野での応用が世界的に期待されている一方、人間の受精卵に応用することも可能で国内外で倫理問題も議論されている。

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