北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)は2月1日、グラフェンのSi版と言える原子層物質「シリセン」を凹凸がある表面上でも成長させることに成功したと発表した。

同成果は、同大 先端科学技術研究科応用物理学領域のアントワーヌ・フロランス 助教、高村 由起子 准教授らによるもの。詳細は米国物理学協会の発行する速報誌「Applied Physics Letters」に掲載された。

シリセンは、これまでの研究では、原子レベルで平坦な表面上にしか成長しないと考えられていた。今回の研究の成果は、研究チームがこれまでの研究で明らかにしていた、Siウェハ上のエピタキシャル二ホウ化ジルコニウム薄膜上にシリセンが自発的に形成されるというところから、さらに二ホウ化物薄膜の表面を加速したイオンにより凹凸を形成した上で、同じプロセスでシリセンが成長するかどうかの調査を行った結果、判明したもので、これにより、二ホウ化物表面上に形成されるシリセンが、単なる単結晶表面に吸着したSi原子による再構成構造ではなく、Siベースの次世代デバイス材料となり得る、真の2次元材料である、ということが示されたと研究チームでは説明している。

なお、今回の成果を受けて研究チームでは、シリセンが大面積かつ極薄ケイ素系超薄膜材料として応用研究への展開が期待できるようになると説明している。

左が平坦な表面上に形成されたシリセンの様子。右が凹凸がある表面上に形成されたシリセンの様子 (出所:JAIST Webサイト)