パナソニックと産業技術総合研究所(産総研)は1月31日、2月1日に茨城県つくば市の産総研つくばセンターに「パナソニック-産総研 先進型AI連携研究ラボ」(先進型AI連携研究ラボ)を設立すると発表した。両者は、加速的・集中的研究開発の実現のために2016年4月に制定された産総研連携研究室制度を活用した。

発足式における関係者一同。中央が連携研究ラボ長の小澤順氏

今回、AI技術・ロボット技術の分野での先進的な研究開発を行っている産総研と、民生から産業まで幅広い分野で事業展開をしているパナソニックの研究部門が、先進型AI連携研究ラボを設置し、今後の社会課題・顧客課題解決に向けた研究開発に共同で取り組む。

具体的には、重要な社会課題の1つである少子高齢化に伴う労働力不足に注目し、健康・介護分野、流通・接客分野において、先進の対話技術やロボット技術による業務支援に関する研究開発を実施。また、AI技術を応用する上で、アルゴリズムの高度化やデータ規模の増大により、膨大な計算能力が必要となる課題も生じており、この課題解決に向けた計算機環境に関する研究開発も行う。

産総研の情報・人間工学領域では、傘下にある人工知能研究センターをはじめとして、産業競争力の強化と豊かで快適な社会の実現を目指し、人と情報が共存する社会を目指した情報技術の研究開発を行っている。

特にネットワーク上に多量に存在するビッグデータから人間の知的処理を計算機上で実現するAI(人工知能技術)、人間の生理・認知・運動などの機能を明らかにし、安全で快適な社会生活を実現するための人間計測評価技術のほか、介護サービス、屋内外の移動支援、製造業などさまざまな産業におけるイノベーションを目指したロボット技術を中心に基盤技術の研究開発を行う。

一方、パナソニックでは社内外のさまざまな場面で発生するデータとAI技術を活用し、社内での業務効率の向上や、顧客に提供する価値の向上を図る取り組みを進めている。2016年には、大阪大学と連携して人工知能技術とそのビジネス応用に関する人材開発と強化を目的とした人工知能共同講座を開始し、社内技術者のスキル習得を進めるとともに、担当する事業領域でのデータ獲得とデータを有効活用した商品やソリューション開発を進めている。

両者では、先進型AI連携研究ラボでの取り組みに加え、今後も研究機関と企業としての連携を検討し、研究開発により社会課題の解決に貢献していく考えだ。