文部科学省が、科学研究費助成事業(科研費)の公募や審査の在り方を見直し、多様で独創的な学術研究を振興するための制度改革内容を27日公表した。科学技術・学術審議会学術分科会の提言などを受けた科研費制度の抜本改革で、今年9月に公募する平成30年度助成から適用される。

今回の抜本改革の柱は審査システムの大きな変更で、競争的な環境の中で既存の研究分野に縛られずに応募できるようにするのが狙い。具体的には審査区分の「大くくり化」と「総合審査方式の導入」。新たな審査区分表を設け、これまで最大400以上に細分化していた審査区分を廃止し「大区分」「中区分」「小区分」の3つに分ける。大区分と中区分には多角的な審査をする総合審査方式を導入し、個別の小区分にとらわれることなく、同一の審査委員が幅広い視点から合議によって審査する。小区分は同一の審査委員が電子システム上で2段階にわたって書面審査して採否を決定する。

新審査区分の小区分は、基盤研究(B、C)・若手研究として306区分が設定されている。中区分は、基盤研究(A)・挑戦的研究としていくつかの小区分を集めた65区分が設定されている。さらにこの中区分を束ねる形で、大区分は基盤研究(S)として11区分が設定されている。

「挑戦的研究」は新設で斬新な発想に基づいた研究を対象とする。最大2,000万円を助成する。論文などの実績よりも発想の新しさなどを重視して選ぶ。成果が出るまでに時間がかかる研究も助成するのが目的という。

図「科研費審査システム改革2018」の概要(提供・文部科学省)

関連記事

「基盤的研究費、科研費、間接経費の充実を 主要11大学要望」

「科研費頼みの論文生産状況明らかに」