NECパーソナルコンピュータ(NECPC)は1月26日、SRIインターナショナルと実施している人工知能(AI)に関する共同開発の成果技術について、スリーアイズがWeb広告配信ネットワーク「CANDY」(キャンディ)として販売を開始したと発表した。

新製品は、ニュースなどのWeb記事と連携する広告や関連記事を選択するサーバ・ソフトウェア。NECPCの人工知能との連携により、日本語で書かれた記事の意味を理解し、画面上にその記事内容に関連する記事や広告を表示する。

同製品は、2016年10月からパートナー媒体数社による実証運用を受けている。この実証運用において、人気度を基に行うWebコンテンツのレコメンド表示と比べ、NECPCの人工知能が選定したコンテンツではクリック・レートが約3倍向上したとしている。

また、物販広告バナーに応用したケースでは、リンク先のネット・ショップで平均購入率3%以上を達成するなど、Webサイト運営ビジネスでの有効性を確認。同製品で使用している人工知能はNECPCとSRIが共同開発したものであり、日本語の文章の関連性を理解できる機能を実現しているという。

さらに、インターネット上にある膨大な日本語コンテンツを機械学習することで、日本語圏の一般的な生活者が備えている知識に匹敵する知識辞書を持ち、Webコンテンツの話題を解釈している。例えば、「花園」という単語は一般には「花の植えてある庭園」という意味だが、ラグビーの話題ではラグビー場の呼称として一般的な単語であり「高校ラグビー」などの単語とも関連性が高いといった知識を備えているとのこと。

Web広告に関しては、従来はCookieによりサイト来訪者(読者)を識別して個々の読者の閲覧履歴を取得し、その情報と関連性の高い広告を表示していた。この方式では、例えばプロ・スポーツチームの記事を閲覧していてもマンションの広告が表示される、あるいは過去に検索した洋服の広告が表示されるなど、現在興味を持って見ている記事内容に対して関連性が低い広告が表示されるていたため、読者の意識を広告に向けさせることには課題があったという。

これに対し、同サービスでは競技名やチーム名、リーグ名といった関連から意味を解釈し、現在興味を持って見ている記事内容に対してより関連性の高いコンテンツやチーム応援グッズなどの商品広告などを自動で選出し、レコメンド表示することを可能としている。

このような、人の一般知識から見て違和感の無いレコメンドを行うことで、広告のクリック・レートに加えて、クリック後のネット・ショップ商品の購入率アップも達成。今後、NECPCは同社のニュース・アプリ「My Time Line」に人工知能の次世代版を搭載する予定。

同アプリは、常に更新される膨大なWebニュースに対して利用者がどのような話題に興味を持ったかを端末内CPUの演算で推測し、利用者の嗜好に見合うニュースや広告を表示させる機能をアプリ内で実現していく。なお、これらの興味情報などパーソナルな情報は利用者の端末の内部で管理し、複数機種利用時の嗜好情報の同期にはデータの暗号化にも対応するという。

将来的には同サービス以外にも応用範囲を広げ、ユーザーの嗜好や現在の行動を理解し、ユーザーが有益と思われる多様な情報をレコメンドする機能の実現を目指す。これにより、好きなアーティストのコンサート・チケットの予約や、旅行の予定を提案するなど、端末が能動的に生活をサポートするアシスタントのような役割を担えるよう、さらなる研究を続けていくとしている。